第九十八 ガレ村
番外編も入れると今回で百本目です。
*前回のあらすじ*
ドワーフの洞窟から出発した。
***
日が落ち、真夜中、光り輝く星空の下に、焚き火を炊く人が一人。
「はぁ……夜の間は暇だな」
クモは一人、馬車の見張りをしていた。
しかし見張りも暇なので、
雲で剣を作り、素振りをしている。
「四百九十九……五百!!!っと。疲れたなぁ〜そして暇だ」
何も無いのだ。暇すぎだ。
もう一人見張りの人もいるが、その人も暇だろう。
「はぁ……早く着かねぇかな」
俺は次の目的地に思い吹ける。
確か次の目的地は"仏の国"だ。まだギリギリ国の敷地には入ってないらしい。
敷地に入ったら村から村に行って、国の中心地、首都ニョライ。
そこから港がある街、ヤギシに行ってから遂に"和の国"!
先が長いなぁ。
けど楽しみだな。"和の国"。そしてトウカが育った村にも途中で寄るらしい。
トウカがウキウキしてたらしい。久々に帰るとか。
「楽しみだな。早く夜が空けてくれるといいな」
夜にそう思ったのだった。
***
ガタガタと馬車が揺れながら進む。
そんな中、窓から外を覗く少女は膝の少年を起こす。
「クモ、起きてください。村が見えましたよ」
「なんだレル。なんて村だ?」
「確か、ガレ村だった気がします。この村には明日には出るそうですよ」
「そうなのか?少し早くないか?」
「これまでで遅れてますからね。短縮できる所はするそうですよ」
「そうか。まぁいいけど」
俺は体を起こし、村を眺める。
変わった所はない普通の村だ。
"仏の国"か。
"仏"って言うから仏教を思い出すな。
仏教のことなんて詳しくは無いんだけど。
そんな事を思っていると少年が岩を背中に乗せて、腕立て伏せをしていた。
トレーニングか。少年の頃からやるなんて凄いなぁ。
そう思っていると奥にも岩を背中に乗せて腕立て伏せをしている人が二人、三人、四人と見えた。
「!?」
何が起きているんだ!?
いや、筋トレだけど。そんなに!?
ここは修行する所なのかな?
「これが噂の"仏教徒"の修行ですか。凄いですね」
「だな。こんなにも人がいるんだな」
「ですね」
「そうなんだゾ。凄いんだゾ」
「え!?なにこれ、名物かなにかなの?」
「そうですよ、クモ。クモは知らないことが多いのは知ってますが、これも知らないとは」
やれやれと言いたそうな感じでレルが言ってくる。
腹立つ。
「これは"仏教徒"の修行ですよ。"仏教徒"ってのはこの国の宗教の"仏教"を信仰している人達ですね」
「へぇ〜。この国の?じゃあ他の国にもあるのか?」
「ありますよ。"人類国家"オルヒルでは英雄ロキを崇めるロキ教。他にもあります。てか知らなかったんですか?」
「あぁ。宗教なんて興味無いからな」
少なくとも信仰する気は無い。
日本は無宗教の方が多い国だからな。
俺も無宗教なのだ。
「そうなんですね。ともかく"仏の国"ではこれが普通に見れるそうですよ」
「そうなんだ。何でトレーニングしてんの?」
「詳しくは知りませんが、宗教上の理由らしいですよ」
「宗教上の理由でトレーニングすんのかよ、この国」
少し怖っと思いつつも馬車は進む。