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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

拝啓 未来の僕へ

作者: もふ

初投稿です。静かにお楽しみいただけると嬉しいです

僕は記憶がないらしい…

正直自分でもよく分からない。

目が覚めると少しひんやりとした部屋の真ん中、ポツリと置かれたベットの上に寝かされていた。 そして一人の男がいたんだ。

年齢は35〜40くらい?でももう少し若いのかもしれない… 髭は長いが綺麗に整えられている。そして白衣に身を包み僕に言った。

『久しぶりだね…いや、失礼。はじめましてだね。私のことはドクターとでも呼んでくれたまえ。なんのひねりもないと言うか?それでも良いではないか』

少し笑わせようとでもしたのか?何一つ面白くもない… 思わず顔が引きつってしまう。

そして僕はある事に気付いた。首が回らないのだ。まるで何本ものボルトで固定されたようにピクリとも動かない。なぜかは分からない。でも目の前の男、ドクターは違うようだ…。ニヤニヤと笑う口元が心底気持ち悪い。早く何処かに消えてくれないかと思い、『失せろ、気持ち悪い』と僕は確かに言った…はずだった。口は動いた、舌も動いた、でも声は出ない…。なぜだ?首が回らなければ声も出ない、一体なんなのだ。ドクターは相変わらずニヤニヤと笑っている。そしてその気持ちの悪い口を開き

『首が動かない、声が出ない、そう言いたいのだろう… 答えが知りたいか? まぁ、教えはしないがいずれわかるだろう』

意味がわからない、早く言えばそれで済むものなのになぜ教えないのか…

『面倒臭い奴だ』頭の中で呟いた。本当は声に出したいが…

その時、ドクターが歩き出し視界が開けた。

数メートル先には何やらよく分からない実験器具の様なものが置いてある。理科系は嫌いだ。だが、視界の隅に異様な物が見える

アレは…大きなペンチ?そしてノコギリと…残りはよく見えない。一体何につかうんだ?何の実験をしてるんだ?僕の動かない頭を不安が包み込む。次の瞬間、僕は動き出した。

いや、自分で動いたのではない。ベットにキャスターが付いていてドクターが引っ張っているのだろう。何処へ連れていかれるのか…

恐怖で目を閉じる事が出来ない…だが、閉じたほうが良かったのかもしれない。動く視界の中確かに僕は見た。一瞬ではあるが見間違いではない。人間のパーツだ。腕、足、臓物?頭部…どれも生々しく、作り物には見えない。『本当にここはなんなのだ』僕は思った。そしてこれ以上見たくもないので目を瞑った。しばらくタイヤの回る音と揺れが続き、少し激しい揺れとともにベットは止まった。そしてタイヤの音の代わりにドクターの声が聞こえてくる。

『着いたよ、少し待っててくれ。鏡を持ってきてあげよう。今の君の状況を知りたいだろう… くれぐれも逃げようなんて考えるなよ?』

つまらない冗談だ、首が回らない人間がどうやって逃げるのだ、そもそもベットに固定したのはドクター、貴方だろう?いや、そんなことはどうでもいい、鏡を持ってくると言った。つまり僕の体が… いや、そんなわけがない。ドクターが戻ってくる

『大人しく待っててくれたね。私は嬉しいよ。 さぁ、見た前まえ』

僕は恐る恐る鏡を見た。そんなわけがないと思った。でも現実はそんなわけがあったのだ。体が、首から下がない。謎の機械に繋がれて頭だけの僕がそこにいた。ありえない、なぜだ?なぜこうなったのだ、事故か?そんな記憶はない、そもそもなぜこれで生きているのだ、僕はこれから一生このままなのか…

色々な考えが頭を駆け巡る。そして、あまりにもおぞましい現実に僕は耐えられず意識を失った…。ピーッ機械音が鳴り響く。

ドクター『はぁ…またか、また失敗なのか。

あの事故で文字通りバラバラになった我が息子を生き返らせる為に長年研究を行い、ついに意識の蘇生に成功したというのに…毎回耐えられずこのざまだ。息子の意識の保存は出来ているようだな、良かった。 だが、この脳はもうだめだな…また新たに調達しなければ…いや、待てよ…私が息子の意識と一つになれば… なぜ今まで気づかなかったのだ。脳の調達の手間も省けるではないか。

そうと決まれば善は急げだ。おい!助手君話を聞いてくれ…』


拝啓 未来の僕へ

未来が来るといいですね



終わり

読んでくださりありがとうございます!

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