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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

 透かしこゝろ

作者: 内井 蛙


              


僕は不透明だ。別に優柔不断な性格とかではなく、物理的に不透明だ。僕の身体は少し透けている。目を良く凝らすとピョンピョンと跳ねる心臓が見えてしまうぐらい不透明だ。そんな理由で僕は昔から怖がられた。

「お前は半分お化けだ、気持ち悪いー」と小学校の頃良く誂われた、今は年をとって、例え奇妙な目で見られても、他人事の様に振る舞えるようになった。基本人を避けていれば、バレることもない、だから僕はいつも一人でいる。ただ何故か僕を付きまとう物好きが一人だけいる。

彼の名前はとおる。初めて会った時はびっくりしてしまった、いきなり僕の前に立ってこう言ったから。

「俺の名前は透、噂でお前の肉体は少し透けてるだと聞いた。だから服を脱いで見せてS2」

「お前はホモかあああああ。」

色々言われ慣れた僕でさえ過剰反応してしまった、流石に初対面の男にいきなりぬげと宣言されることなんて普通はない、例え自分が化物でも。それからそいつは僕をとことん付きまとった。トイレでも、購買でも、クラスでも、休日でも、どこへ行ってそいつはに先回りして待ち伏せしていた、その度同じセリフを僕に嘆かれる。

「身体見せてS2」

「だから、お前はホモかああああああああ!!」

と予定調和のようなセリフを毎回やり終えると彼は僕に付き合う、遊びだろうが、食事だろうが、なんだろうが、僕のそばにいてくれる、だからここ最近一人で居ることが滅法減ってしまった、別に一緒にいられるのが迷惑ではないが、慣れてないが故にこそばゆい。だから今日ボクはどうして透が僕から離れないのかを聞くことにした。

「なあ、透。何でそんなに僕にこだわるんだ?」

「理由?あんまねえが、そうだなー。俺さ目がすげえいいんだわ、なんでも見透せる、人の心もね。そんでさー、たまたま遠目にお前が写ったんだ、そしたらさ透き通るような綺麗な心が見えてさ、ああこいつ良いなと思ったんだわ、それがけ。」

僕は不透明だが彼は透明だ、彼の言葉は僕を見透かす。

「透って、やっぱりホモでしょ。」

彼の、僕の友が紡ぐ言葉一つ一つが僕を嬉しくさせる。

「でも僕はホモじゃなあああいいい。」

酷い目眩が襲う、さあ今日も彼は一体何をしてくれるのだろう。


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