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5人で世界を渡ります。  作者: 亜莉種
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選択7 噂の噂は本当です

「お前ら離せ!」

『そうだそうだ!』


ノンの一言に撃沈した三人組はその場で固まってしまいどうしたものかと考えていたリズ一行は、とりあえずと三人組が持っていたロープで近くにあった木の幹に三人を縛り上げた。

我に返った三人は離せとリズ達に抗議していたのが冒頭だ。

しかし、世間一般で言う悪党三人組をみすみす逃がすわけもなく無視してランチを楽しんでいた。

しばらくしてリズがリンゴを咥え三人に近づいて行き目の前で屈み込んでだだ見つめていた。


「な、なんだ…」


見つめられた三人は何を考えているのかわからない瞳に戸惑いながらもリズを睨む。

その額には薄っすらと汗が滲んでいた。

リズはただ何もせず咥えたリンゴを食べるばかり。

そんなリズの背後からノンが覆いかぶさる背中に体を乗せリズの頭に顎を置く。

リズは小さく唸る。


「リズ、この三人をどうするか考えてたんでしょう」


ノンの質問に正解だとリズが数回頷く。

ランチを終えた他の三人も集まっての話が始まった。


「このままにしとく?」


ニーチェが言うとうーんと皆が考えだし川に捨てるなどの恐ろしい案が出て来た時命の危機を感じ顔を青ざめる三人組が勢い良く声を出す。


「まっ、待て!お前達!」


全員が声を出した本人へと向く。


「このロープを外してくれれば情報をやる」

「情報?」


ノンとリズが首を傾げ、全員が男の言葉に耳を傾ける。


「あぁそうだ。お前達は火の山に向かってるらしいな」


その言葉に全員が驚く。

それもそのはず、誰一人としてこの男達に火の山に行くことを言ってはいないのだから。

動揺しているリズ達に男からは小さな笑い声が零れる。


「村からずっと後を付けてたからなそれぐらいはわかる」

「うわぁ…ストーカー…」

「違うわ‼︎」


ナイの言葉を直ぐに否定してわざとらしく咳を一つ。

男は全員の視線が気になるものの話を続ける。

「あの山が燃え続けているのは伝説のドラゴンがいるからだとゆう噂だ」

『⁈』


全員が驚きの顔をする。

あの伝説の獣の名が出て来て逆に驚かないものなどいない。


「…伝説のドラゴン…」


ワッチがそう呟くと男は頷く。


「そのため、あの山に行って生きて帰ってくる保証はない。ましてや、目撃した奴も影を見ただけであくまで噂だ」


影と言う言葉に疑問が浮かぶ。

それはつまりこの情報は噂と真の中間にあるとゆうことだ。

だか、この男も情報としてこの話題を出した。

誰もが噂の真偽に迷っていた。

男は迷っている五人にある人の名を出す。


「だいたい、あの村の村長も言っていただろう」


その言葉には直ぐ全員が否定した。

正確には村長が噂を持ち掛けた時には全員が話を聞いておらず、行く気満々で準備をしていたため村長の話など聞いてはいなかったのだ。

その事を男が口にすると五人は苦笑してお互いに顔を見合わせていた。


「さて、俺の話は終わりだ。さぁこのロープを解いてもらおう」


男が一息入れて情報の対価としてロープを外すように要求するが…


「よし!このまま火の山目指すぞ!」

『おお‼︎』

「なぁっ…⁉︎」


リズの宣言に四人が声を挙げそれと同時に男達からは声にならない声が出た。

そしてリズ一行は進むべき道にゆっくり歩き出した。

要求を無視され今だロープで縛り上げられた男達は必死にもがいていた。


「お前ら約束が違うぞ!解け!」

「えっ、約束?そっちが勝手に話してくれたじゃん」


ノンの言葉に三人が記憶を遡り話をする前に戻す、すると一斉に驚愕した。

確かに男は情報を与えると言った、しかもリズ達が同意する前に与えてしまった。

ロープに繋がれた男達はまた真っ白になっていた。

五人が男達を置いて歩いて行った時、まるで忘れ物と言わんばかりにリズがやって来た。

さっきと同じように目の前で屈み込むと一言告げた。


「また何か情報あったらよろしく」


そしてリズは男達の前に何かを置く、それを死んだ目で男達は見ていた。

リズが置いたのはランチで残ったのであろう三つのリンゴだった。

じゃあねとリズは手を振り皆の下に走って行った。

三人はそれを見て真ん中の男がフッと笑う。


「せめてロープを切って行けー!」


そんな雄叫びが青い空に響き渡る。

それと同時に微かに響いた謎の獣の声に気付いたのは誰もいない。



噂は人に移るもの

それが真実とも限らない

だが嘘とも限らない

今回出て来た男達三人はまた後から出て来ますので、その時名前は出します。

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