選択2 二つ名は重要です
「ねぇ、リズ。楽しむのもいいけど初めになにするの?」
いきなりの出来事に一番戸惑っていたのであろうワッチが困った顔で話しかけてきた。
それにリズは、うーんと唸ったがすぐ答えを返した。
「とりあえず、二つ名が欲しい」
「は、はぁ…」
やっぱり二つ名は欲しいよねと言うリズに戸惑いながらも他にやることがない四人はとりあえず戦うために茂みを探りモンスターを探し始めた。
そして数刻経った頃。
「…あっ、ねぇねぇ」
少し小さい声でニーチェが全員を呼ぶ。
皆が頭や服に葉っぱをくっ付けながらニーチェの下に静かに集まった。
ニーチェが指さす方に全員の目線が行く。
そこには小さいながらも確かに動物とは明らかに違う物がいた。
それがモンスターだとわかったリズは目を輝かせた。
「ワッチ!行ける行ける!」
リズからのいきなりのGO宣言に自分は行かないの⁉︎と答えながら渋々ワッチはそのモンスターに近づいて行く。
ガサッ
ワッチが踏み入れた足音に気づいたモンスターがこっちを振り返る。
戦闘が始まった。
スライムっぽい物が現れた。
「スライムじゃないの⁉︎」
白く縁取られた説明文が現れたがあまりの適当さにワッチは脱力する。
だが戦闘が始まった事には変わりなく、身構え杖を握り直す。
二人の間に重い沈黙と乾いた風が流れる。
…!
「…どうやって戦うんだっけ…」
しまったと言いそうになったのを抑えるが、自分の無知に焦りが生じる。
だがモンスターは待ってはくれず、モンスターは飛びかかってきた。
ワッチは驚きおもわず杖を振る。
すると杖の先端が赤く光り、そこから火の玉が生まれモンスターに向かっていく。
とっさのことにモンスターは防御もとれずもろに当たってしまった。
煙と共に地面に倒れたモンスターは光となって消えていった。
いきなりの事に困惑しているワッチもモンスターが消えた事だけは理解できた。
「ワッチ」
「うわっあ‼︎」
突然後ろから声をかけられ驚くワッチ。
ビックリするなーと言われればゴメンとリズが返す。
しかしワッチは四人の姿を見るとモンスターを探していた時より多くの葉っぱが付いているのを見て明らかに自分が戦っている時、茂みに隠れていたのがわかって顔が引きつる。
そんなワッチの心情を知ってか知らずかリズは話を続ける。
「ところでなんか変わった?」
「そういえば全員レベルが上がってるよ」
それに答えたのはナイだった。
確かに全員のレベルを見れば1から2に変わっていた。
細かな経験値は若干ワッチの方が多く入っていた。
しかし、ステータスはそれぞれ違いバラバラだった。
「…あっ。ワッチに二つ名が付いてる」
ニーチェの言葉に全員の目線がワッチの二つ名に向く。
赤いやつ
「赤いやつ⁉︎赤いやつって何⁉︎」
二つ名を付けられた本人が一番驚いた。
周りからは笑い声が大きいのから小さいのまで聞こえてくる。
しかし、他の四人には何も書かれてなく、戦ったワッチだけが着いているのを見ると、戦った時だけ付くみたいだと誰かが言った。
「あははっ。ワッチおめでとう」
「おめでとうー」
「おめでとう」
「おめでとう」
四人からの拍手と祝福の言葉を貰ったワッチ。
本人は嬉しくないと顔が暗くなっていた。
「よーし、ワッチよりカッコイイ二つ名付けるぞー!」
「目的変わってない⁉︎」
最初から最後まで驚いていたワッチ。
目的そっちのけで二つ名の話題に行ってしまったリズ一行。
一体いつになったら野原から移動するのか。
二つ名の響きを轟かせ
世界を巡るはまだ先か
それを知るのは誰もいない