選択1 渡る世間はパーティーで
どこまでも広がる野原に風が吹き、地面に咲いた草や花が揺れサーサーと葉っぱ同士が擦れる音が響く。
そんな野原の中心に少女が五人。
だが、少女達からは何も聞こえない。
ピクニックに来たのかと思えばそうゆうふうでもない。
そんな少女達の頬を流れるのは生ぬるい冷や汗。
そして一人の少女が呟いた。
「ここは天国ですか…」
いいえ、異世界です。
「死にたくないぃぃぃ!」
「ちょっ、落ち着いてリズ」
首にマフラーを巻き頭を抑えて叫んでいるリズと呼ばれた少女をローブをまとった少女がなだめていた。
しかし、その声を境に緊張がほぐれたようにポツリポツリと声が聞こえてきた。
「でも天国だとしてもこの格好はどうゆうこと?」
一人の少女が呟いた。
五人はそれぞれ自分の格好を改めて見る。
それはまさしくRPGに出てきそうな服を着ていて、それぞれ違った。
また、手には槍、杖などを持ちやはりそれも一人一人違っていた。
「一人一人確認してみようか」
リズをなだめ終えた少女が確認を始める。
まず、リズと呼ばれた少女は首にマフラーを巻き肩と胸に鎧をつけ、腰に剣を刺し手には槍を持った騎士のようだ。
さっきまでリズをなだめていた少女ナイ。
薄い水色のローブを身につけた牧師。
表には出さないが多分戸惑っているであろう三人。
背中に斧を背負い鎧を付けたニーチェ。
背中に矢を背負い手に弓を持ったノン。
誰でも一目見て魔法使いだとわかるワッチ。
なんともまあ、不思議なパーティーが出来上がっていた。
「それぞれ職業も違うけどノンの楽師って珍しいね」
そう言うナイがなぜノンの職業がわかるのかハテナマークを浮かべる三人の代表でワッチがなぜわかるのかと聞く。
「だって目の前に書いてあるし」
全員が自分の前、腰よりしたを見る。
「うわ!本当だ!」
全員の目の前にはレトロゲームでお馴染みの黒い背景に白い縁取りと白い文字で自分の名前、職業、HPなどが書いてあった。
「ねー。自分騎士なのに馬がいないのは何で?」
「いや、騎士だから馬がいるわけじゃないから」
「ねー、この二つ名って何?」
ノンが指す場所に確かに二つ名と書かれた欄があった。
しかも、全員が同じ名もなき旅人となっていてステータスはそれぞれ違うが皆同じレベル1。
「二つ名はカッコイイのがいいな」
リズが言うと隣にいたニーチェもニコニコしながら頷く。
「だけどなんでいきなり異世界にいるの、漫画じゃないんだし」
その言葉に全員が頭をひねる。
確かに漫画やアニメならゲームをしていてとか、異世界の使者がやって来たなど何かしらの事があるのにこの五人は学校のクラスメイトで友達だが今の今まで一緒にいたわけでは無い。
訳のわからない事ばかりだった。
やがて考えるのを辞めたリズが辞め辞めと言ってきた。
「とりあえず、ここが異世界なのかゲームなのかわからないけどせっかくだし楽しもう」
おおー!と一人元気に言うリズに戸惑いながらも同意するようにナイとニーチェがおおーと片手を上げる。
そんなんでいいのかと言う声を聴きながら。
これからこの五人での旅が始まるのかと思うと波乱の幕開けでしかなかった。
野原に吹く風は世界を巡る
五人の少女の旅を知るのは
まだ、風しか知らない