夢は
もふもふの毛布にくるまり夢の中。
いつも夢の中では、私は可愛い女の子。
真っ直ぐ伸びたくせのない綺麗な髪。
そばかすのないつやつやのお肌。
細長く、スラリとした手足。
その私は、可愛い丈の短いワンピースを着て街にでる。
可愛い服を見ながら、クレープを食べたりするの。
色々なメイクをしたり。服着たり。髪を可愛くアレンジしたり。
けど、いつも可愛い私をお婆ちゃんの形見の大きな鏡の前で見ようとするとき、アイツが来てこういうの。
『夢にはにやわないよ。そんなの』
アイツは笑いながら私の服を破いて……。
そこでいつも目が覚める。
ジリジリ………
一昔の目覚まし時計の音で目が覚める。
むくりと起き上がり、ベットの目の前にあるお婆ちゃんの鏡をみた。
そこにいる、私は人間の皮を被った化け物がいた。
髪はぐるぐる縮れている。顔はそばかすだらけ。ニキビがないのが幸いである。身体は脂の乗っていて、まるで醜い豚だ。
お婆ちゃんが最初で最後のプレゼント。この大きな鏡を私は大切にしてるが、毎朝この現実を見るだけで死にたくなる。
一通りの身支度をしたあと、学校に行くため階段を降りる。
私は朝ごはんを食べない。いや、食べれない。
あんな場所に行きたくないから。
「行ってきます」
私は一応母と姉に挨拶をする。
けど、その挨拶がかいされたことはもうない。
私以外の家族は、みな美しい。
私のように豚ではないし、そばかすだらけでもない
美しい髪を持つ。
だから、私を無視する。
教育、住居、食事などお金をちゃんと出しているから文句はない。けど、時々チクリと心が痛い。
昔はこうじゃなかった。
ちゃんと、可愛がっててくれた。
けど、アイツがあんな事をしてからおかしくなったんだ。
母と姉のあいだで朝ごはんを食べている、わたしの幼馴染み。
コイツは顔が美しい。
手足も長く、髪もキラキラ光り輝く。
まるで、1つ芸術品。
だが、わたしの幼馴染みは良く分からない。
だって、いつの間にか男から女になっていた。
別段女装は今時珍しくない。
人によって、ファッションであったり、自分の本来の姿を表すためのものだったりする。
だが、幼馴染みはそのどれにも当てはまらない。
私の前だけ、女装をする。
例えば、今のようになぜか私よ家で朝ごはんを食べる場合は、女装。
学校が同じだから、学校でも女装。
けど、土日、または私が学校を休む日は男の格好をしている。
最初は偶然だと思った。
私の前ではいつも女装していたから、常に女装していると思っていた。けど、ある日私が学校をサボり外に出歩いていたら、偶然アイツがいた。最初は解らなかった。男の格好してたから。
そのあと、土日どうしても外に出なきゃ行けないとき偶然目撃すると、アイツは男の姿。
それが何回もあったので、私の前では女装しているということがわかった。
全く腹立たしい。なぜそんな事をするのか。
私の醜さを遠回しから言われているようで気分が悪い。
それに一番嫌なのは、アイツが私の代わりにこの家の妹ととして扱われていることだ。
母も姉も父も。アイツを可愛がっている。
アイツもアイツでお姉ちゃん、お父さん、お母さんといっている。
私の大事な場所はこうしてなくなった。
私はあと2年あの部屋にいなくてはならない。
いても、いなくても同じ場所に。
夕方、学校が終わりいつも時間をつぶすための公園にいた。
ここは、心地がよい。この近くに新しく出来た公園があり、そのせいでこの公園は使われなくなった。寂れた公園。何処か私共似ている。
あんまり早く帰ると母が嫌な顔をする。
それを思うと嫌になる。だんだんすべてが嫌になる
いつも思っている事をこのベンチですわりながら悶々と時間をつぶす。
「まぁた、こんなとこにる。」
声をかけてきた人はここ最近お話するようになった佐藤さんだった。もさもさの髪を生やした中年のオッサン。ここら辺に住み、小説を書いて暮らしているらしい。
「ここが、好きだねぇ」
そう言って私の頭も触る。いつからかここに来て私の頭を優しく触る。
ふわふわしてゆく。
心がふわふわしてゆく。
私がここに毎日来ている理由の1つ。
こうするだけで、心が治ってゆく。
「あっ、笑った。」
今これがきっと、私の生きる目的だ。
「あっ、そうそう。これどうかな?姪がいらなくなったワンピースがあったから、君にあげる。」
「えっ?」
佐藤さんはにこやかに私にワンピースを渡した。
夢と同じ、丈が短い可愛いワンピース。
私には、決して似合わないワンピース。
「いっ「じゃ、僕は用事あるから。」
佐藤さんは消えてしまった。
私の手の中にはワンピースが残ってしまった。
私は今、あのワンピースを着て鏡の前にいた。
似合わない。太い足が強調される。
着る理由はわからない。
けど、着てしまった。
キラキラ光るワンピース。どんより暗い私の顔。
その二つが鏡に映る。
なぜだか、私は笑っていた。
「おかしいね、こんなの。」
「そうだね。おかしいよ。それ。」
ドアに幼馴染みがいた。可愛いワンピースを着て。
なんで、ここにいるの?
聞こうとした。けど、言えなかった。
幼馴染みはいつもみたいにキラキラしていない。表情がごっそり落ちた、まるでマネキンのような顔をしてこちらをじっと見ていた。
目の評点があっていない。虚ろいでいる。
「「夢には、似合わない。」」
いつも見ている夢と重なる。
けど、幼馴染みは夢とは違い服を破かなった。かわりに私にのしかかって来た。
「似合わない。そんなの。似合わない。夢には。似合わない。こんなの。似合わない。夢には。似合わない
こんな、汚い男から貰ったワンピース。夢には。似合わない。僕が。あげる。夢には。僕が。ワンピース。似合う。僕が選んだ。人。服。正しい。夢には。僕が………」
ぼそぼそ、私の上で呟く。
私は何も出来なかった。逃げる事も。叫ぶ事も。
「……○○○○○○」
幼馴染みの名前を言ってみた。久しぶり呼んだ幼馴染みの名前を。
この後私は幼馴染みに何かされた。
いつの間にか朝になっていて、二人とも裸で寝ていた。
そのあと、何故か母や姉、父が私を妹、家族として扱うようになり、幼馴染みの彼女ということになっていた。
まるで、夢を見てるような幸せが今始まった。




