表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/81

素晴らしき世界(ショートショート)

素晴らしき世界


 友人が急に言い出す。

「素晴らしき世界ってどんなの?」

「なんで、急にそれを言い出した?」

 私は目を丸くする。

「曲名。」

「んー?」

 私は友人の手元を見つめる。歌詞カードだ。

「戦争がない世界とか、そういうもんかね?愛が溢れているとか?」

 友人が言う。私はちょっと考え込んだ。

「うーん……。たぶん、何も知らない世界かな?」

「は?」

「人魚姫は、海にずっといれば王子に会わずに、生きていたでしょ。鶴の恩返しも鶴を助けなきゃ、贅沢はできなかったでしょうけど、ガッカリすることもなかった。戦争が行われていうという事実を知らなきゃ、誰も心を痛めない。」

「物語から、いきなり現実世界になったわね。」

 私は友人にお茶を差し出した。

「子供や老人の虐待も、貧富の問題も、気が付かなきゃ気にならないでしょ。」

「それ、素晴らしい?」

「あら、そんな世界が可能かどうかは別問題よ。でも、知らないことは幸せなことでもある。幸せの中で生きていけるなら、素晴らしいんじゃない?」

「私はそういう考えを聞けることに素晴らしさを感じるわ。」

「そう?」

 私は、自分のお茶を飲んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ