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現実主義(ジャンル:ショートショート)
現実主義
友人の話に私は、目を丸くした。
「幽霊が怖い?」
「わかってる。そんな非日常的なものが怖いなんて、ばかげているって言いたいんでしょ?」
「いや?幽霊に会ったことよりも、真夜中に一人で墓参りに行ってきたってことの方が怖いね。」
「なんで?」
私は顔をしかめた。
「どこに、夜中に真っ暗な中、墓参りに行く人がいるのよ!襲われたらどうするのよ?」
「幽霊に?」
どうも友人はわかっていない。
「人間によ!幽霊よりも人の方が触れる分だけ怖いでしょうが!」
「……あなたってもっと現実主義で幽霊なんていないって言われるかと思った。」
「なんで?現実主義よ?それと幽霊がいるかいないかは関係ないのよ。宇宙人だろうか、死後の世界だろうか、研究している真面目な現実主義者はたくさんいるわよ。でもね?真面目な人間が夜中に墓場をうろつくとは思えないから、お墓参りはせめて太陽が昇っている間にして。」
「わかったわ。」
私はため息をついた。




