食わず嫌い (ジャンル:恋愛)
食わず嫌い
「食わず嫌い?失礼ね。あたしは食って嫌いなのよ。」
「……なるほど。」
彼女と初デート。彼女のことを知ろうと嫌いなものを聞いた。
「生魚、キノコ類、エビ類、卵料理の一部かなー。」
彼女はえらくザックリ言った。
「卵料理ってたとえば?」
「茶碗蒸しとか、トレンチトーストとか、プリンとか。あ、でも卵は平気。」
それは卵を使った料理なのではないか?
それにしても嫌いなものが多くないか?
「刺身とか?」
「ダメ。新鮮なものを食べてないからだって意見もいらない。食べたけど、嫌!」
寿司はダメってことか?
次のデートに繋がらないかも。
「…君は?」
「僕?えーと、高野豆腐かな?」
「なんで?」
「スポンジみたいだから。」
「そこが美味しいのに。」
彼女はニコニコしていった。いや、僕も鮮魚とか好きなんだけど?
「でも、良かった。」
「なにが?」
「好き嫌いが少なかったら、今度弁当作るから、桜を見に行こう?」
「……うん。」
弁当に、エビフライもほしいけれど、から揚げでもいいし、生魚で弁当は無理だし。キノコ類もなくてもいいし。デザートは別にプリンでなくても構わない。フルーツでもいいし。僕はつい笑顔になった。
「楽しみにしてるよ。」