テリトリー(ジャンル:詩)2
テリトリー(ジャンル:詩)2
たとえばあたしは猫になりたい
自分のテリトリーには侵入させず
自分のいい時だけにあなたを見つめ
あなたに撫でてほしいと身をくねらせ
嫌になったら離れていく
あなたの素敵な所もダメな所も見つめて
嫌いな所には爪を立てるの
それでもあなたはため息つきながら
優しいまなざしであたしをみる
そんな猫になりたい
あなたのすべてが見えるようにと
影になりたいわけでも
一方的に与えられる情報だけで
なにもかもが満足できるような
透明人間になりたいわけでもなく
こちらの大事なココロを渡さずに
渡してほしいとあたしは無茶を言いたい
あたしは猫じゃないから
そんなことはできないと言うでしょう
あたしも猫じゃないから
そうしてほしいとは言えない
無条件の愛などありはしない
たとえばあたしは猫になりたい
あなたの人生の一部になって
あなたのテリトリーの中で老いて
ゆっくり死んでいく
あなたに愛されながら
あたしは猫じゃないから
猫よりも爪を立てて
あなたの傍にいたいと言いたい
あたしは猫じゃないから
あなたを噛んで
他の女と戯れないでと言いたい
こちらの大事なココロを渡さずに
渡してほしいとあたしは無茶を言いたい
言わないように
傷をつけないように
傷つかないように
でも傍にいたい
そんな猫になりたい




