紫色の本、その名もラベンダさん
むっとした生ぬるい外気をまといながら、おこめさんはとあるカフェのテラスでともだちと一緒にあそんでいました。いろいろなお話が聞こえてきました。ひらがなさんのお話。カタカナさんのお話。漢字さんのお話。そこにはとてもゆったりとした時間が流れていました。
少しあそび疲れて、ひと休みをしていた時のこと、おこめさんは地面に咲いていたラベンダの紫色の小花にふと目を奪われ、その美しい香りに魅了されました。ともだちもとても心地よさそうで、気持ち良さそうに踊り始めました。上に下に右に左に、ゆらゆらと揺れ、くるくると回りました。
その時でした。ともだちがテーブルをあまりにも揺らすものですから、置いていた本が滑り落ちてしまったのです。本はラベンダを根本から押し潰してしまいました。
おこめさんは、必死になって本を拾い上げました。すると、するりと本の黒い衣装は取れて、本の姿があらわになりました。紫色でした。
おこめさんは、ラベンダに痛い思いをさせてしまったことに今にも泣きだしそうでしたが、ともだちは、本とラベンダはひとつになったことを教えてくれました。おこめさんがよく見てみると、本の姿は確かに紫色ですし、本の小口には、ラベンダの小花の色が移ったのでしょう、所々、紫色に染まっていました。ともだちに言われるがまま、おこめさんが、そっと本の小口を嗅いでみたら、確かにラベンダの香りがしました。おこめさんとともだちは、この本を今度からラベンダさんと呼ぶことに決めました。
おこめさんが、ラベンダさんの小口をふんわりと嗅いでいたら、ともだちが今度はこれであそぼうと誘ってきて、おこめさんはラベンダさんをそっとテーブルに置いて、またあそびに戻ったのでした。




