天空の大天使と地球の神
芥川龍之介の名作 蜘蛛の糸をアレンジしてみました。
日本という国でのお話です
昔々江戸という町に流行り病が発生しました
高齢者がかかる病で壮年の男女、お年寄りが次々と死にました
食べたくても食べられない子供がたくさん現れました
ある日江戸の町にこんな噂が流れました
満月の夜 命運の社という所に一筋の糸が降りてきて
それを伝っていけば天国に行けると・・・
希望を無くした子供達は
満月の夜 命運の社に集まりました
100人程はいたでしょうか
我先にと細い糸を登ろうとしています
ある者は我こそが天国へと
他の者を蹴落とし
ある者は途中で糸が切れるのを覚悟しながら
その光景を眺めていました
そこに地球の神が現れました
「皆の者よ、その糸を登っても天国はない。
エンジェルになるだけじゃ。」
エンジェルとは14歳までに死んだ子供だけがなれる
人の寿命を勝手に決めて魂を抜き取る役目を担う者です
「ええい、天空の大天使め。エンジェルを増やし
ルシファーやサタン、ベルゼブブとの勢力争いにさえ
利用するつもりじゃな。」
ワシに出来る事それは・・・
「えい。」キラキラ光る糸をプチンと切りました
「何しやがる。」
子供達は地球の神に襲い掛かりました
いつも雲や霞を食べている地球の神は
まるで力がありません
ズタボロになり息も絶え絶え
地球の神は最期に流行り病の特効薬を作り出し
姿を消しました
地球に神はいなくなりました
少年・少女達はそれから神のいない世界の不安さに気付き
偶像崇拝を始めました
天空の大天使 ラファエル ガブリエル ミカエルは
人間の愚かさに冷や汗をかき
「ろくなエンジェルが出来ん。」と
14歳以下の子供にエンジェルを務めさせる事を
諦めました
それから人間の平均寿命が伸びたそうです
芥川全集読みたい・・・。