ゲーム小説なろう第3回
〜お昼休み〜
「味方側だと範囲マスの連携判定が難しそうですか?
敵の行動に合わせて追いかけることはできても
味方同士だと美しい自軍の陣形を保持できない?」
「動いてしまうとどうもね、
アールピージーだっけ?ああいう固定タイプの陣形と違うのでね」
「いっそのこと、この回復ユニットを撤去して
体力が減ったとき、各々が道具で回復するようにしては?
回復係が空飛んで頑張って追いかける必要も
回復魔法自体の範囲マスを過剰に増やすこともない
リーダーが回復してもらうために一旦敵から離れる事もないでしょう」
「それはいけません」
「なんで」
「この回復ユニットは大事なのです
メインストーリーに関わる後方支援キャラなのです!
何があっても外せませんよッ!」
あまりの熱弁に一同、ポカンとする
「なぜ君が言うんだ?
シナリオライターでもないのに」
「私はこの章のシナリオを実現するために参加したようなものですから」
「初耳だな、この章の話に何かあるのか」
シナリオの冊子をパラパラめくるチーフ
「特別なシーンというのは聞いています
だったらなおさら、この時だけの特別処理でいいんじゃないですか?
不死の回復魔法使いがリーダーを不死身に見せるシーンでしょう?
漫画ならともかく自動処理では酷ですよ」
「あんたってゲームに詳しいようで詳しくないね」
「何!」
シナリオライターが昼食を買いに行っている間も
廊下に向けてドアが開放された会議室では闘いが繰り広げられていた。
少し離れた飲食店街は会議室の窓からも見える位置にあるが
シナリオライターはそれに反抗するように、ゲェム会社のすぐ隣の
親子丼の店に入っていった
シナリオライターはよく白糸諸侯や中立ライターと呼ばれており、
その名称の意味は、異なる世界の如く不明である
"シナリオ諸侯の編集ボタンを隠す"
親子丼の店で持ち帰り弁当を携え会議室に、帰ってきた白井諸侯
「なぜ食ってこなかったんだ?」
不思議そうにチーフが訪ねた
「どういう意味か」
「陶器の食器が好きだと言っていたのに
これじゃプラスチックだ、コンビニと変わらない
店で食えば食器で食えてゴミも出ないんだが」
「そ…そういえばそうであった…!
これを、これを誰かに渡してくれ」
「なんだこれは"すだちうどん?"こんなのが良いのか?
誰かが食うから問題ないが」
「いや、それは間違って頼んだのだ
もう一度行ってくる」
会議室
「あの人がシナリオ書いてんですか?」
「そうだが」
「偉そうに見えないな」
「シナリオ担当って偉そうに見えるのかって?」