ゲーム小説なろう第一回「SLG〜シミュレーションゲーム〜」
「ここで回復魔法ユニットが
自軍の動きについてくるにはどうすればよいか?」
クーラーの効いた会議室で設計図を広げるチーフ。
腕組して無言で立ち尽くすプログラマー達。
ドアストッパーで開きっぱなしの会議室は出入りが自由で、
遅れて来たスタッフ数人が彼らを避けるようにして窓側へ近づき、ガラガラと窓を開けた。
すべての窓が適当に開けられ、ブワッと外の熱風が入り込んでくる。
この類の勝手な行動は日常茶飯事であり、
誰かが制止する日もあれば、何も言わない日もある。
さらに室内は今までと打って変わった議題に突入、
ほとんどの者が食い入るように図面を凝視している。
この日、エアコンは壁のスイッチで速やかに止められた。
暑いと言っている状況ではなくなったのだ。
「現状だと他の味方ユニットが全滅しても、後方に固まったままで
ろくな動きをしないのが回復魔法係。
孤立の危機感どころか、置き去りにされた後でも特に意志が感じられない。」
「…あのう、クーラーをつけても構いませんか?」
スタッフ(新参アルバイト)の一人が手を上げて誰となしに質問する。
「涼しい部屋に行きたかったら、開発室に戻りたまえ。
今なら第一、第二ともに空いている。俺の椅子も部長のも空いている。
勝手に座って休む。そういうルールだ。」
チーフは下を向いたまま答えた。
つづく