誰かの遺書2
突然こんな手紙を寄越してすみません。
さぞびっくりしていることでしょう。
明日は友達の家でホームパーティをするって言っていましたもんね。僕に友達はいます。大勢います。嘘じゃない。
僕は、今まで死にたいだなんて思ったことありませんでした。
スタバに行って、新作のフラペチーノ飲もうと思って、頼んだんです。
「店内でお過ごしですか?」
そう聞かれて、僕は反射的にYESと言ってしまった。店内で過ごすつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。
その時思ったんです。僕はこういう人間なんだって。
ずっとずっとNOと言ったことがなかった。自分の意思じゃないYESを言い続けた。
もういいかなって、初めて思った。
これは生きることへのNOです。
初めて自分の意思でNOと言えた。
僕はとっくに壊れてた。明日のホームパーティなんて本当は行きたくなかった。友達は多いけど心から信頼できる相手なんて1人もいなかった。だいたい、皆とわいわいすることが苦手でいつも吐きそうだった。
1人が好きだった。自然が好きだった。絵を描くことが、小説を読むのが、好きだった。
業間休み、友達と外でドッヂボールをするよりも1人で本を読んでいたかった。友達がいない奴を笑いながらも心の奥では羨ましいと思っていた。
羨ましくて、たまらなく憎かった。
酒もたばこもやったけどなんの味もしない。
僕は僕の意志で生きていないのなら生きる意味なんてあるの?
もう、解放されたかった。
だから僕は初めてNOと言います。
最高に景色の良いところで、清々しい気持ちで、NOと言い放って1人で死にます。
今までありがとう。さようなら。