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逃亡

どうも!家でゴロゴロが仕事、睡眠が趣味が夢の

Haruki.Tです。

今回第3話!壁を破壊した先に待っていた上空、果たして雷人はどうなるのか!?

雷人の意識は薄れていた。

大気を切り裂く音が耳元で鳴り響き、風が肌を刺すように吹き抜ける。何もかもが速すぎて、時間が歪んで感じられる。

先ほどの戦闘での疲労がじわじわと足元から染み込んできて、彼の体は重く、頭はぼんやりしている。壁をぶち破った瞬間、地面を割るような音がして、そのまま空中に放り出された。その後、ただ無限に落ちていく感覚が続いた。

視界は歪んで、浮かぶような感覚から、急に現実が戻ってくる。あれ、今どれだけ落ちているんだ?

商店街の屋根がようやく視界に入ってくるのを見て、雷人は冷や汗をかきながら意識を集中させた。

──落ちる。どうしてこんなことに…。

本能的に恐怖がこみ上げるが、それを振り払うように体を一度固める。足の裏で地面を強く踏みしめた。意識を研ぎ澄ます。

「俺、どうするんだ…」

冷静になろうとすればするほど、逆に状況の恐ろしさが身に染みていく。それでも、彼の中に、あの戦闘で使った能力の感覚が蘇ってくる。

「アレを使うのか…?」

かすかに震える手を何度も握り直す。恐れと期待の入り混じった感情が渦を巻く中、思わず背中に冷たい汗が伝う。

上空から見下ろした商店街の屋根は、遠くでしか見えなかったが、今や視界の中でどんどん近づいてきていた。

このままでは、きっとひどいことになる。

そのとき、急にふと頭に浮かんだ。あの能力を使えば!

雷人はその瞬間、覚悟を決めた。

能力が発動すると、身体中に火花が走り、周囲の空気が一瞬で変わる。まるで電気が走るような音が、雷人の周囲で弾ける。

「できる、はずだ。」

彼の目の前に商店街の屋根が迫ってきた。

その一瞬、意識を集中させる。

風の音が一層激しくなり、時間の感覚が歪んでいく中、雷人は身体を一気に弾ませる。爆発的な力が一気に周囲に放たれ、雷人は再び空中でバランスを取り、必死で着地する場所を選ぼうとした。

一瞬、あたりから火花が散る音がして、雷人は無意識に身体を一度大きくひねる。強烈な力で地面に向かって体を放り出し、轟音とともに商店街の真ん中に着地した。

大きな音とともに、周りの屋根やガラスが小さく振動し、周囲の人々が驚きの声を上げる。

雷人は息を整えながら、あたりを見回す。

自分が住んでいた場所に近いこの商店街のど真ん中に着地したが、意外なことに人影はほとんど見当たらなかった。近くの商店もシャッターが降りていたり、道に人がいない。普段なら賑やかな場所だったはずだが、今日はどういうわけか静まり返っている。

「あの店…。」

商店街のすぐ近くにある、雷人がよく立ち寄る喫茶店が目に入る。

──あそこなら…。

雷人は疲れた体を引きずりながら、意識的に歩き出す。無意識に足が向いていくその先には、かつての自分の居場所が待っている。

周囲は異常に静かだ。普段なら人々が行き交う商店街のはずなのに、今はまるで人々が避けるように姿を消している。雷人は不安がよぎるも、それでも無理に歩みを進める。

「早く、あそこに…。」

そうつぶやきながら、彼は歩みを速める。

そしてやがて、喫茶店のドアを開ける。鈴の音が心地よく響き、店内の穏やかな空気に包まれた。その瞬間、ようやく落ち着いた気がした。

店内ではマスターが厨房で忙しそうにコーヒーを淹れている。雷人はしばらくその様子を見つめ、何か言いたげに口を開くが、すぐに口を閉じた。

目の前に座っていたのは、見覚えのある男だった。男はだだっ広い店内の端から二番目の席に座っており、雷人がドアを開けた瞬間に目を向けた。

「……お前、だったのか。」

呆然とした言葉が口から漏れる。男は無表情で、ただ静かにコーヒーを一口飲んでいる。それでもその目が、どこか鋭い視線で雷人を捉えているようだった。

雷人は息を吐き出し、そこに座ることを決めた。マスターはコーヒーを三つカップに注いでいて、そのうち一つを雷人の前に差し出す。どこかいつも通りの優しさが感じられる。

「お前、どうしてここに?」

雷人が問いかけると、男は静かにコーヒーを置いた。しばらくの沈黙の後、男がようやく口を開いた。

「お前がここに来ることは、あらかじめわかっていた。」

雷人は驚きの表情を浮かべ、思わず言葉を失う。

男は一度、雷人をじっと見つめると、冷静に話し始めた。

「商店街に落ちた理由も、偶然じゃない。お前が住んでいる場所に近いこの辺り、事前に調べておいた。」

雷人はその言葉に驚き、さらに問いを続ける。

「じゃあ、どうやって…?」

「壁を破壊したこと、覚えているか?あの破壊、実はお前が落ちる場所を選ばせるための暗示だ。」

雷人は言葉を飲み込む。どうして、男がそんなことを?と疑問が浮かぶが、男はさらに続けた。

「お前に選ばせるためだ。逃げるか、戦うか…。」

雷人は言葉を失い、その後の質問をどうしても口にすることができなかった。

男は淡々と続ける。

「お前がこの選択をどうするか、それが重要なんだ。」

雷人は深く息をつき、目の前の男の言葉に耳を傾けながら、自分の心の中で何度も考えた。

──逃げるのか、戦うのか?

雷人はその問いに答えを出せずにいた。逃げれば命は助かるかもしれない。しかし、他の誰かが犠牲になる。人々を守れるかもしれないが、自分の安全を犠牲にしなければならない。

「……俺は、俺が逃げたらきっと…。」

雷人は心の中で葛藤を繰り返す。

──戦う?戦ったら、あの虚人にどう立ち向かう?勝てるのか…?

その瞬間、頭の中にあの戦闘のことがよみがえる。虚人の強さ、恐怖、そして自分の力の限界。しかし、他人の命を守るために、自分が戦うべきだと感じた。

「……」

雷人は静かに口を開いた。

「ああ、戦うよ。」

それが、彼の答え

あ〜もっとみて欲しいな〜


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