表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

監禁

今回はスパイラル第二話です。

目を覚ますと、真っ白な部屋だった。壁、天井、床、すべてが無機質な白で埋め尽くされ、扉という扉は見当たらない。ただ、一人の男が目の前に立っていた。黒いスーツに身を包み、冷徹な目でこちらを見下ろしている。

「ここはどこだ?」

思わず声を上げると、男は軽く眉を上げた。

「やっと目を覚ましたか。いろいろと情報量が多かったからな、まあ無理もないが……」

独り言のように呟くその声は低く冷たい。

「おい!ここから出せ!」

「まあ、そう焦るな。」

「焦るだろ!こんなの、アニメやドラマでしか見ないんだよ!お前、映画の見すぎでどうかしてるんじゃないか!?」

「俺は最近映画なんて見てないし、見すぎてもいない。」

「じゃあ、これはどういうことだよ!」

男は軽く肩をすくめた後、真剣な表情に戻った。

「説明しよう。お前は、不死鳥の石(フェニックスコア)の適合者だ。」

「不死鳥の石……適合者?」

「そうだ。15年間、誰も適応できなかった石だ。普通の人間が触れば少し光るだけだが……お前が触れたとき、光り方が違った。それだけじゃない。お前は石を吸収し、その能力を得た。」

頭が追いつかない。混乱する雷人は、男の言葉を遮った。

「ちょっと待て!じゃあ、なんで俺に“あの大型銃の穴に入れろ”なんて言ったんだ!?握らせるだけでいいだろ!」

男は表情を少し歪めた。

「あのときはお前が適合者かどうか確信がなかった。だから念のため大型銃にセットさせたんだよ。」

「なるほどな……で、その石は今どこにある?」

男は、雷人を指差した。

「お前の体の中だ。言っただろう?吸収されたと。」

「……俺の中に?」

言葉が出ない。その時、雷人はふと自分が撃たれたことを思い出した。

「待て、もう一つ聞いていいか?なんで俺は撃たれたのに痛くないんだ?」

「それは催眠術だ。それに似た方法を取った。」

「催眠術?」

男は淡々と説明を続ける。

「最初にお前を撃った銃は本物だが、最後に撃ったのは偽物だ。脳に“本物の銃で撃たれた”と認識させ、ホログラムで演出しただけだ。」

「つまり、俺を騙したってことか?」

「ああ、そうだ。」

男の言葉に、雷人は力なく溜息をついた。

「さて、行こうか。」

「行くって、どこにだよ?」

男は雷人を縛っていた縄を解き、静かに指示する。だが、その直後――

「眠れ。」

男の声が響いた瞬間、雷人は急に体から力が抜け、その場に崩れ落ちた。


---


次に目を覚ますと、今度は暗闇に包まれていた。先ほどの白い部屋とは違う場所だ。手足は自由だったが、不安が押し寄せる。

「ここは……?」

その時、スピーカー越しに声が聞こえた。

「おはよう。」

雷人は声の主に向かって叫んだ。

「あの、どういうことだ!?俺をここから出せ!」

「説明しただろう。君は不死鳥のフェニックスコアの適合者だ。」

「だからなんだよ!適合者ってだけでこんな怪しい組織と関わらないといけないのか?」

「君には使命がある。虚人――人間を襲う怪物を討伐できる存在だ。簡単に逃がすわけにはいかない。」

「ふざけんな!お前らの都合だろ!」

雷人の叫びにも関わらず、男の声は冷静だった。

「虚人は階級で分けられている。A級からD級、さらに人間に害を及ぼさないF級もあるが、君にはA級討伐を任せたい。」

「勝手に決めるな!」

怒りに任せて能力を解放しようとする雷人。しかし、その動きは見抜かれていた。

「やめておけ。センサーでわかる。」

声の主が言った通り、雷人の腕だけが赤く表示されているモニターが映し出されていた。

だが、雷人はお構いなしに全身に力を込め、縄を破壊。周囲に炎が浮き始めた。

「その縄はA級以下の能力を無効化するはずだ…まさか、こいつはS級か!?」

「そんなの知らねえよ!」

雷人は壁を蹴り飛ばし、破壊する。だが、その先は――地上4000メートルの上空だった。

風が一気に吹き込み、全身が空中へと放り出される。

「……嘘だろ!」

耳をつんざく風の音。声を張り上げても、かき消されていく。全身の血の気が引き、冷たい感覚だけが残る。

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ