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第6回 自炊という神秘

エッセイもどき第6回です。


私は食べることは好きですが、料理をすることは全く好きでも得意でもありません。だけどそんな人間でも一応自炊をしています。

そう、今回のテーマは自炊です。


自炊をするかどうかは人によって大きく異なると思いますが、現代において自炊せずに済む方法は昔よりも増えていると思います。


それが昼食だろうが夕食だろうが、コンビニや外食、スーパーのお惣菜なんかで健康的な食生活はできます。私の夕食のように通販の冷凍弁当を頼む人もいるでしょう。


朝食は悩むところですが、事前に買っておいたパンやシリアルで済ませたり、朝から営業しているカフェに行くという選択肢もありですね。和食だと流石に難しいかしら。


それでも世の中には自炊する人たちがいます。

理由を問うたら恐らく費用が安く済むからとか料理が好きだからという回答が多いのでしょうが、その奥にあるものに私は触れてみたい。


自炊して作ったご飯って美味しい!

そういう経験をしたからこそ、自炊するという選択肢が消えずに残っているのではないかと思います。


これはよくある話題だと思うのですが、小学生の頃に体験学習かなにかでカレーを作ったりしませんでしたか?

なんか山奥の施設みたいなところに行って、班分けして飯ごうでご飯を炊いて、お鍋でカレーを作って最後に食べるみたいな。


他の人との分担とはいえ、私の自炊経験はあの時が初めてでした。

そしてその時のカレーは例に漏れず美味しかったのです。


子供が作ったので親が作ったものよりクオリティとしては低かったでしょうし、学校から出て野外で食べているというシチュエーション的な後押しがあったことは否定できません。

でも確かに美味しかったのです。小学生の頃の記憶を今の私が覚えていることが何よりの証明です。


そしてそれを大人になってからもう一度その感情を抱いたことがありました。

それは数年前、コンビニで済ませていた昼食を自炊に切り替えようと試しにおかずを作っていた時のことでした。


コンビニで買うとサラダとおにぎりだけで500円は絶対に掛かるし、それだと量も少ないし……ならいっそ自炊してしまった方が安いのでは?と思ったのが全ての始まりでした。


お弁当というほど大層なものは作れなくとも、野菜炒めにご飯を添えればコンビニにも負けない健康的な食事ができるはず!と一念発起したのです。


その時のメニューはほうれん草と豚こま肉の塩コショウ炒め。工夫の欠片もない適当料理です。

しかも作り方も雑で、ほうれん草は洗った後にキッチンばさみで適当に切っただけ、肉はこま切れになっているので油を敷いたフライパンに突っ込むだけです。


流石に料理初心者でも作れました。肉にしっかり火を通すことさえ忘れなければ健康にも害はないはずです。では味見してみるかと一口取ってぱくり。


……ん、美味しい!!


あれ、これ私が作ったの?と思うほどの美味しさでした。

あったかくておいしい!


作りたてという補正が掛かっていたことも美味しさの理由の一つだったのでしょう。だけどそれだけでは説明がつかないほど美味しくて、これならコンビニ飯よりも自分で作った方が絶対に良い!と確信しました。


そして、その時思い出したのが小学生の頃のカレーのことでした。

ああ、あの時も自分で作って美味しいって思えたな、と。


まだ幼かった頃の自分が感じた純粋な気持ちを、この歳になってもう一度感じられたことが嬉しかったのです。まだ私の心には何かに感動できる力が残っているのだとも思えました。


自炊ってすごいですね。自分で作るとこんなにも美味しいと思えるのです、それは私からすれば神秘に近いものです。


じゃあこれからは積極的に自炊して機会も増やしていこう……とはならないのが私。やっぱりプロに作ってもらう方が楽だし美味しいし。


そうして今、自炊は我が家の出費を抑えるための経済的行動に成り下がってしまったのです。

ああ、神秘よいずこへ。ではまた。

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