第5回 想像のつかない味
エッセイもどき第5回です。
想像がつかない味、というものは誰しもあると思います。
例えば特殊なものを食べさせてくれる店とかってメディアでも取り上げられますよね。
カエル肉を鍋にして出してくる店とか、コオロギを使った料理を提供してくれる店とか。
そういったいかにも未知の味というのは今回のテーマではありません。
一般的なレストランで出てくる普通のメニューなのに何故か想像がつかない味、というものについて書いてみたいと思います。
いや、メニューに書いてあるから想像くらいつくだろうと思われるのでしょうけど、私にはあまりよくわからないまま実食した料理があったのです。
子供の頃なら単純に経験が少ないから想像がつかないというのが多くあったのでしょうけど、今回ここに載せる2点はいずれも社会人になってから経験したものです。
まず1点目はカービィバーガーなる代物です。
画像検索してもらえれば出てきます。
……なんだこのピンク色は。おおよそ一般の食品が出せる色じゃねえぞ。
見ての通りピンクの悪魔と称されるキャラクターを主題にしたレストランの料理ですので、一頭身のピンク玉を再現すべくパンズがピンク色になるのもわかります。実際可愛いですし。
しかしこれは実食するまで味がさっぱりわかりません。
むしろ何かの防衛本能が生まれてしまいそうな色合いです。
着色料なんてのは世の中のあらゆる食品に使われているので、今更そこに物を言う気はありません。
ただ、食品に不自然な色に対して人間の防衛本能が反応する例というのはなにかで聞いたことがあります。なんでしたっけ、青色は食欲を減退させるとか。
ピンク色はそこまで強烈ではないと思いますし、マカロンとかのピンク色は問題ないでしょうし。
ただパンがピンク色というのは恐ろしい気がする。
でもまあ可愛いからいいか!とぱくり。
…………うん、特に何の味もしない。
ビビらせておいて特に何もないのか。いや、何かあるよりは遥かにマシなのだけど。
ともあれ他では見ることのないであろうピンク色のハンバーガーをその目に焼き付けてきました。
そして2点目は公式サイトへのリンクを貼っておきます。
写真は撮ったんですが映りが悪くてあまり伝わらないのではないかと懸念しまして。
https://www.polamuseum.or.jp/news/topics/2024072002/
神奈川県は箱根・強羅にあるポーラ美術館内のレストランアレイで頂いたランチプレートです。
美味しそうでしょう? 食べ物は。
問題はスープと飲み物です。なんだこの色は。
スープの方は橙色をしていますが、オレンジジュースとは思えません。恐らくポタージュでしょうが、ニンジンにしては色が薄く、トマトにしては橙色が強すぎる気がします。
そして飲み物の方ですが、もう色の混じり具合が狂気でしかないです。
なんで上の方がオレンジ色で下が緑色になってるんだ。分離しているのは何かしらの原理か技術かがあるんでしょうが、それにしてもこのグラデーションにはビビり散らすしかありません。
もしかしたらバーに行ったらこういう飲み物は大量にあるんでしょうか。怖い。
いや、注文する前にメニューの詳細を見るんじゃないかよと言われて、まあ実際見てるんですけど。
じゃあ答え合わせです。
飲み物は「夏のノンアルコールカクテル「スイカ」」、スープは「トマトの冷製クリームポタージュ」だそうです。はあ、なるほど。狂気の正体はスイカとトマトでしたか。
そして実食した感想ですが。
カクテルの方は「うっわ、スイカ! スイカの味する!」、スープの方は「なんかトマトというか牛乳の亜種みたいな感じ……なんとも言えねえ……」でした。
で、結局この話題をテーマにした理由は何かと言うと、想像のつかない味怖い!! 怖いよ!!という気持ちを誰かに訴えたかっただけです。
いや、普通に怖いじゃないですか。下手したら生命の危機なわけですよ。
しかしそれを繰り返してきたのが人類の歴史なのかもしれません。
これは食べられる、これは食べたら危ない、あれは食べると害が及ぶ……もしかしたら私もその人類のフロンティアの上に立っているのかもしれません。そう思うと突然人生を謳歌しているような気分になってきました。なんだか悪くないかも。
まあ、ちゃんとしたレストランの時点で食品の安全は確保されてて当然なんですけどね。
気分だけでも、ということで。
ではまた。




