第15回 回転寿司に見る人生
そろそろネタが尽きてきたエッセイもどき第15回です。
もう尽きたの? 話題を絞り出して人との会話の引出しを増やそうと頑張ってたのでは?
そうです。そのはずなんですが人には限界というものがあるので(現実から目を逸らす)
そんな悲しい現実はいいんです。早速ですが今回のテーマは回転寿司です。
悲しい話をした後で唐突ですが最高ですね。日本人が愛してやまない四字熟語ツートップの片割れだと思っています。もう片方は不労所得。
回転寿司とひとくちに言ってもピンキリまで色々ありますし、一言で全体を表すのは難しい感じがします。
例えば全国チェーンで展開しているかなりお安めの店舗なんかはテレビのCMでもよく目にしますし、逆に地域限定で出店している地域密着型のチェーン店だとあんまり露出がないことも多いでしょう。
そして世の中には一店舗のみ~数店舗あるくらいのチェーン店とは呼べないレベルでこじんまりとやっている店だってあるのだと思います。行ったこと無いからわかんないけど。
ただ、どのタイプのお店にも通底しているのはやはりワクワク感ではないでしょうか。
寿司という存在自体が人の心を明るくさせたり楽しくさせたりするのに、それがコンベアに乗って流れてきたり、タッチパネルで注文したら運ばれてきたりというのは大人でも自然とテンションが上がってしまうはず。
店内に入ったら聞こえてくるスタッフさんや職人さんたちの威勢のいい声なんかも気分を上げてくれます。
いわゆる回らないタイプの寿司屋も一応行ったことはあるのですが、あの店内に溢れる活気はないどころか、むしろ静かにしなければいけないと緊張して委縮してしまいました。
やはりこのワクワク感、回転寿司の醍醐味の一つではなかろうか。
そしてもう一つ、回転寿司と言われて感じるのは趣味嗜好の移り変わりです。
子供の頃から親に連れられてお店に行き、大人になったら自分のお金で通い、その中で自分の食に対する姿勢や食の好みそのものの変化を明確に感じています。
私が回転寿司に行った最古の記憶はやはり小学生くらいで、全国チェーンの安い店に行ってはひたすらマグロの赤身を食べるだけの面白みのない子供でした。まあ小学生なんてそんなもんか。
他のネタには目もくれずに一心不乱に赤身。どうしてそこまで食べ続けても飽きなかったのか、当時の自分にインタビューしてみたい事柄の一つです。
あとはスイーツ系ですね。ファミリー層を狙ってスイーツが充実しているお店だったので、赤身を食べまくった後にパフェを持ってきて貪り食うという愉快なことをしていた気がします。
これはあまり書きたくないのですが、パフェを食べた後に何故かガリを食して締めていたような気がします。
うわ、マジで意味わからん。なんで甘いもの食べた後にそうなるんだよ。
そういえばそのチェーン店でアルバイトをしていたという大学時代の同級生曰く、シャリにネタを載せる作業をしていたけど、みんなネタをつまみ食いしまくってたし全然バレなかったとのことでした。
うわ、低価格帯の闇を軽く見てしまった……と感じたことは口に出さず聞き流しましたが、やはり安いには安いなりの裏側があるのだなあと。
話を元に戻します。
小学生の頃は赤身しか食べなかった私、中学生になってサーモンに目覚めました。
魚の味を適切に表現できる技量はないので諦めますが、まあ赤身より美味しいと思い始めたのです。程良い脂のノリととろける食感。そんなところでしょう。
その頃には家族の気が変わったのか、大手チェーン店は避けて地域密着型のお店に通うようになりました。当時の自分の舌がその違いを感じ取れたのかは正直覚えていませんが、その辺りから確実に食べるネタの幅が広がっていたように思います。
前の記事にも書いた気がしますが、我が地元北陸の回転寿司はかなりハイレベルで、東京の回らない寿司と大差のないクオリティのものが出てきます。
北陸に旅行に行こうと思っているそこのあなた、回らない寿司に行く必要は特段ありません。地元のチェーン店に行けば十分です。詳しくは知り合いの北陸民にでも聞いてください。
で、そういう質の変化も私の趣味嗜好に影響を与えていたのでしょう。
高校生、大学生とステップを踏んでいくにつれて食べるネタはどんどん増えていきました。
最初はブリやカンパチなどの手を出しやすいところから始まり、アジやイワシのような青魚にも手を出し、社会人になった今はなんとエンガワが大好物です。
いやあ、最初は赤身しか食べなかったキッズがこんな風に変わるなんて。
人の変化とは恐ろしいものだと思うと同時に、それをこんなにも如実に映し出す回転寿司という環境に驚きました。
これから歳を取ったら次はもっと渋いネタが好みになってくるんでしょうか。
人生の少ない楽しみの一つとして回転寿司観察を続けてみようと思います。
ではまた。