目覚め
心地いい暖かな風と共に俺は目を覚ます。
どうやら、無事に転送されたらしいな。
服装は前世で来ていた白のパーカーと黒のジーパンの私服姿のままで、持ち物は特にない。腕時計とかスマホとか合った筈なんだが……全部なくなってるな。
俺は辺りを見渡す。見渡す限り一面森だ。だが神様曰く、近くに街道があるらしいから取り敢えず歩くか。
俺は街道が出るまでの間、神様からもらったチートを発動させてみる。俺が貰ったチートの名は『魔術本』。効果は幾つかあるが、主なのは魔法を一度見るだけでその魔法が使えたり、それを分解、合成が出来るというありきたりだがかなりレベルの高いチートだ。
……ん? なんか既に魔術本が発動して魔術本に魔法が登録されてる?
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異能:魔術本が発動されました。
魔法:ライト=マインド=インクリースが登録されました。
<備考>
精神魔法の一つ。使用者が意図した感情を膨れ上がらせることが出来る。しかし、少しでも対象の感情がなければ発動出来ない。
<内容>
精神魔法:ライト=マインド=コントロール
原魔術:インクリース
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oh……。え、なにこれ使われてたの?
どう考えても使ってたの神様だよな。
そういえば、断りづらいと思ったその後には直ぐに受け入れてたな……マジかぁ。
まあ、いいか。異世界に行きたいと一瞬でも思ったのは事実だしな。それよか、折角魔法があるんだ。早速魔術本の分解、合成ってのをしてみよう。
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魔法:ライト=マインド=インクリースの分解が完了しました。
精神魔法:ライト=マインド=コントロール及び、
原魔術:インクリースが登録されました。
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異能:魔術本が発動されました。
魔法:ライト=マインド=コントロールが登録されました。
<備考>
精神魔法の一つ。使用者が意図した感情をコントロールすることが出来る。しかし、意識がある場合抵抗されやすく、気付かれやすい。更に、調節を失敗すると廃人になる可能性がある。
<内容>
精神魔法:精神感応
原魔術:ライト
原魔術:コントロール
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おー、出来た。ふむふむ……って怖いなこの魔法。術に掛かりにくいのに加え最悪廃人になるというデメリット付き。使い勝手が悪すぎるな。更に分解するか。
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魔法:ライト=マインド=コントロールの分解が完了しました。
精神魔法:精神感応及び、
原魔術:ライト及び、
原魔術:コントロールが登録されました。
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異能:魔術本が発動されました。
魔法:精神感応が登録されました。
<備考>
精神魔法の一つ。対象者の精神に干渉することが出来る。
<備考>
原魔術:ライト
原魔術:ダーク
原魔術:マインド
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干渉する、か。随分と大雑把だな。んで、もうこれ以上は分解は出来ないと。ってか、さっきからあるこの原魔術ってのはなんなんだろうか。分解出来ない所を見ると、やっぱり原初の魔法とかそんな感じなのか?
そんなことを思いながら俺は森を歩き続けた。
やがて10分ほど歩いて行くと漸く街道に出ることが出来た。
俺は街道から辺りを見渡す。付近に町がないかの確認だ。結果から言えば見えなかった。ただただ草原が広がるばかりだ。出来れば町の近くがよかったよ神様。
だが、神様になんだかんだ言っても始まらない。取り敢えず俺は道沿いに歩いてみることにした。
* * *
歩き始めてから30分ほど、ピンチが訪れた。魔物の強襲だ。
「グゥゥウ……ガウガウッ」
魔物は二体とも狼系の魔物。顔と横腹に緑色のラインが引かれているのが印象的だ。
「数は二体、か。不味いぞこれは……」
現状、俺には攻撃の手段がない。武器もなければ登録されている魔法に攻撃系の魔法もない。
一体だけなら最悪、ライト=マインド=コントロールで廃人ならぬ廃狼にして一目散に逃げるという手もあったが、二体だとどうしても難しい。魔法の発動が間に合わない。
「……そうだ、あれを試してみるか」
というか、それが出来なければ俺は死ぬ。
それはズバリ、魔法の合成。魔術本の機能の一つだ。取り敢えず今もっている魔法と魔術を全て組み合わせて……っ! ヨシッ、出来た!
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異能:魔術本が発動されました。
精神魔法:精神感応と
原魔術:ライト=コントロールを合成し、
精神魔法:感情作成が完成しました。
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異能:魔術本が発動されました。
魔法:感情作成が登録されました。
<備考>
精神魔法の一つ。精神感応で精神に干渉し、新たな感情を強制的に作る。しかし、相手の意思がある場合抵抗され失敗に終わることが多い。
<内容>
精神魔法:精神感応
原魔術:ライト=コントロール
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って、作ったはいいがこれでどうやって……ッ! そうか、組み合わせだ!
「『魔法:感情作成』!」
俺は狼の一匹に魔法を発動させる。
本来、意思がある場合は直ぐ抵抗され失敗してしまうが、魔物には多分しっかりとした自我は無いために、魔法は成功する。
狼に作る感情は俺への親愛である。だが、作り物の感情なんてものは直ぐに消え失せてしまう。だからこそ、この魔法だ。
「続いて『魔法:ライト=マインド=インクリース』」
当然、増幅させる感情は俺への親愛だ。
結果、その狼は俺の隙を付き襲いかかろうとしたもう一匹の狼に飛び付き、俺への攻撃を阻止した。
「ヨシッ!」
俺に襲いかかった狼は突然の仲間の裏切りに唖然としていた。そして逃げた。
「ふぅ……危なかった。死ぬかと思ったぁ」
俺はその場で尻餅を付く。
少し休んでいると、俺の傍らに先程の狼が居ることに気が付いた。その狼は俺に何かを訴えるような眼差しで見ている。
「……まさか、誉めて欲しいのか?」
狼はそうだと言わんばかりにクゥーンと鳴く。俺は下げた頭をワシャワシャと撫でてやる。
……今さらだが、これやってることヤバくないか? あの二匹が番とかだったらこれって寝○りなんじゃ……。
ヤバイ、戦闘が終わって実感湧いてきた。これは不味いぞ。この魔法コンボは封印しよう。
それで、コイツをどうするかだが……よし。
「なあ、狼--」
「ガウッ!」
ッと、吠えられた。なんだ? まだ魔法の効果は続いている筈だが……。
「どうしたんだ? 狼--」
「ガウッ!」
おおぅ、まただ。……こいつ、まさか。
「名前が欲しいのか?」
「ガウッ! クゥーン……」
どうやらあっていたみたいだ。下目使いでこちらを見てくる。可愛いなぁコイツ。
「そうだなぁ……うん、リーンとかどうだ?」
「ガウッ! ガウッ!」
おぉ、飛び回ってる。嬉しいのか。まあ、緑からグリーンからのリーンなんだが……まあ、いいだろう。リーンとの関係はここで最後だし。
「んじゃ、リーン。命令を出すぞ。さっきの狼を追って倒してきてくれ。次の指示は倒した後な」
「ガウッ!」
そうして、リーンは森の中に去っていった。
後もう何十分かしたら魔法を解除しよう。
ここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。




