プロローグ
俺は地球で死んだ。
呆気なかった。だが、後悔はない。
死因は事故死だ。道路に飛び出た女の子を庇って跳ねられた。まあ、名誉ある死ってやつだ。
『名誉ある死、ですか。バカバカしいですね。命あっての人生でしょうに』
「(煩いですよ。それより、誰なんですかあなた)」
不思議だ。全く違和感がない。まるで、ここにいるのが当たり前かのようだ。
『初めまして。私は---というものです』
「(……なんて?)」
『聞こえませんか。平たく言えば、神ですかね』
神、神かぁ。生きていた時なら真っ先に否定したんだろうが、何故か不思議と納得してしまう自分がいるんだよなぁ。
「(それで? そんな神様が俺になんの用件なんだ?)」
『そうですね。それを話すには魔人について話さなければなりません』
神様は魔人とは、と一息つき話し始める。長かったため要約すると、魔人とは過去に神々がその者を危険と判断した者に押した烙印のようなもの。その烙印を押されると全人類から命を狙われるようになるという。そして魔人は現在、強力すぎるが故に殺せずとある宝玉に封印されているらしい。
『……そういう事なのですが、理解出来ましたか?』
「(ああ。なんとなくな。で? それを踏まえて、何の用なんだ? それを聞いたところで「だから?」って感じなんだが?)
『……実は先日、その魔人を封じていた五つの宝玉が魔王の軍勢により奪われてしまいました』
うわー、マジですか。ヤバイじゃん。
……え? いや、まさかな?
「(まさかとは思うが、それを俺に取り返してきて欲しいとか言うんじゃないだろうな?)」
『察しがよくて助かります。その通りです』
「(出来る訳ねーだろ。こちとら何処にでもいる一般人だぞ)」
なに言ってるんだこの神は。
『当然、それに匹敵する異能--貴方の世界でいうチートを授けましょう。更には、五つの宝玉を一つ取り返すごとに貴方の願いを一つだけ叶えましょう』
「(それでもだ。大体、俺じゃなくても適任がいるんじゃないのか? 聞いた感じだと、そこは異世界なんだろ? 行きたがってるやつもいるんじゃないか?)」
『細かい説明は省きますが、異世界への転送は生まれながらの素質が必要不可欠です。その素質がない限り、異世界への転送は出来ません。そして更にその素質を持った者が丁度いいタイミングで死ぬことなどそうそうありません。故に、貴方なのです』
うーむ。それでもなぁ。
「(事情は分かったがそれでも、だな。あまりにも俺に利点がない)」
『異世界に行けるのですよ?』
「(まあそりゃ、俺だって男子高校生。ラノベもまあ読む。だが、異世界に行く目的は世界を恐怖で震撼させた魔人が封印された物を取り返すことなんだろ? それも魔王から)」
『正確に言えば、既に魔王以外の人物に渡されていますが……まあ、そうですね。他の利点を挙げるのであれば、我々神々が、どんな願いも叶える。と言っているのですよ?』
どんな願いも、ねぇ。
『まあ、世界の王になりたいとかは無理でも、例えば、「絶世の美女を妻にしたい」や、「使いきれないほどの硬貨が欲しい」でも良いですし、我々の仲間である「エンジェルに成りたい」とかでもいいんですよ?』
「(うーーん)」
それを言われると魅力的、なのか?
ふむ、迷うなぁ。
『お願いします。我々神々の為ではなく、世界の人々の為にも』
……むぅ、断りづらいな。
「(……しゃーない。分かった。いいよ)」
『! ありがとうございます!』
そこから神様は俺に色々と話をしてくれた。俺の持つチートの説明とか、始めの奪還は近くの帝国にある宝玉がいいよ、とかだ。
『では、次に会うのは宝玉を取り返した時ですね』
「(ああ。楽しみに待っていてくれ)」
そうして、俺は異世界へと転送されたのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。「ここおかしくない?」という指摘や「ストーリー矛盾してない?」ということがありましたらコメントしてくれると幸いです。




