4. 赤葉高校は聞いたことがない
前回のあらすじ
むっつり雪ちゃん、いけませんよ
今彼女の友達から告白を受けて、混乱している。もう遅刻どころじゃない。
「今、彼氏になってほしいって言いました?」
「言ったよー!それでだめかな?」
「いや、だめとかそういうことじゃなくて、まだ会ってから10分も経ってないしお互い何にも知らないじゃないですか?そんなにかわいらしくて、笑顔も素敵ですが、なんというか告白されて困惑してます。おっけーです、付き合いましょうなんて言えませんよ」
「あはは!そりゃそうだよね!でも今私のことかわいいって言ってくれた?うれしいありがと!告白したのは、私が君に一目惚れしたからだよ!。困惑させちゃってごめんね?」
彼女の友達はそう言って手を合わせて謝ってくる。仕草の全部がかわいい。もうコミュ障が発動してとてもじゃないけど、顔を合わせることはできない。茶髪のポニーテールで僕よりも少し身長が小さいくらい、制服もすごく似合っていて、彼氏がいないほうがおかしなくらい素敵な女性だ。
そんな彼女から一目惚れしたって言ってたけど、とても信じられない。僕はと言えば今まで女性との会話はしたことはないし、ましてや告白されたことも一度もない。こんな陰キャに夢を見せているのかもしれない、そうだここは夢か、そうしておこう。おーい、自分!今すぐ起きろ!起きないと学校にもっと遅刻してしまうぞ。そう思ってほほをつねるが、しっかりと痛い。そういえばさっきも痛かったし夢なわけないか…
「ところでさ名前はなんていうの?私は須藤 咲だよ。今年から青葉高校に通う高校一年生です!」
元気に僕に自己紹介してくる。
「須藤さんよろしくお願いします。僕の名前は黒川祐樹です」
「須藤さんやめてー!咲って呼んでほしい!」
「最初からは呼び捨てはできないので、咲さんでいいですか?」
「あんまり納得してないけど、分かった~。私はゆうくんって呼んでもいいかな?」
すごく顔が近い。めちゃくちゃ緊張する。ステップを飛ばしすぎでは?名前呼びするのは陰キャにとっては無理難題すぎる。リスポーンしてすぐに魔王に挑むくらい無理だ。妥協案として咲さんにしたけど、呼べるのだろうか…
するとトイレから須藤さんの友達が出てきて、
「咲、そろそろ学校行かないと遅刻してしまうから、行きましょ?」
「えー、もういいじゃん遅刻しよ!もう少しゆうくんとお話したい!」
「ゆうくんっ?!咲もう彼のことを呼び捨てしているのですか。なんて羨ましい…」
すると、彼女は僕のほうを向いて
「須藤 雪です。咲と同い年で今年から青葉高校に通います。よかったら名前を教えていただいてもいいですか?」
顔は笑ってる。でもすこし怖いんだけど、
「黒川祐樹です。お願いします」
「私のことは雪と呼んでください、私も咲と同じでゆうくんと呼びます」
「ゆうくんはちょっ「ゆうくんと呼びます」」
「わかりました、雪さん」
諦めてそう返事するしかなかった。
「ゆうくんはどうして公園にいるんですか?」
「入学式に行く途中で、お腹を壊してしまって偶然にも公園にトイレがあったので、公園にいるって感じです。もう入学式は始まっていて、今から行っても遅刻は確定しているんですけどね…」
「ゆうくんはどこの高校に入学するんですか?」
「赤葉高校に入学したんですけど、入学式が8時半からみたいで…」
そう言うと、二人は不思議そうにして
「赤葉高校は聞いたことがないですね。このあたりの共学だと青葉高校しかないんですけど…」
「さっきから思ってたけどゆうくんの制服も見たことがないし、なんだか変だね!」
「え?」
これが今日ラストです。
明日は投稿できるか分かんないので、よかったらまた読んでください