side雪 一目惚れしました
前回のあらすじ
どうやら雪はファーストキスをしてしまったようです
若干注意
彼に思わずビンタしてしまいました。
出会って早々に印象は最悪です。すごく落ち込んでます。彼のほうが嫌かもしれません、かわいくない私とキスして申し訳ない気持ちでいっぱいです。彼の顔は呆然としていて空を見ているようでした。
でもこんな美少年とファーストキスしてしまいました。こんな美少年ですから彼はファーストキスではないでしょうけど、彼にとって一番最後にキスしたのは私ですよね!それはとっても嬉しいです。うるせぇよって言って、もっと私の口をふさいでほしいです。嬉しいような、悲しいような、そんな複雑な感情を抑えられません。
その様子に気づいた咲が駆け寄ってきて
「雪、どうしたの?!ってなんて羨ましい光景…」
「いやこれは、その、あはは…」
「やっぱり、私が待ってたかったのに!」
咲はかわいらしく怒っている。私は空笑いするしかなかった。
―――
しばらくして、彼が意識を戻すと
私に向かって丁寧に謝ってくれた。
「誤って女性トイレに入ってしまったことと、倒れこんでしまってその、キ、キスをしてしまったこと本当にすみませんでした」
彼はすこし顔を赤めて謝罪している。彼も恥ずかしかったみたいで緊張しているのかもしれない。そう思うととてもかわいらしくて、抱き着きたくなります。
ここはクールに対応します。顔は、ふにゃふにゃになって口角を下げることはできません。隣からは咲が何か言っているので少し黙ってもらいます。
「顔を上げてください、こちらこそ先ほどは申し訳ありませんでした。まさか女性トイレから出てきたのが男性とは幸うn、ではなく驚いてしまって思わず声が出そうになってしまいました。あとキスに関してですが、まぁ事故みたいなものですし、いったん忘れましょうか!」
私は忘れませんけど、なんなら自慢したいくらいです。ここはクールに何も思ってないから大丈夫という感じを見せる。完璧な演技をすると、彼は顔を上げて嬉しそうに、
「ありがとうございます!」
この時の彼の笑顔は私は今後一生忘れない。
今写真が撮れるなら、これを額縁に入れて部屋に飾りたいほどだ。保存用と観賞用と持ち運び用、最低でも4枚はほしい。彼はどこかの俳優なのだろうか、それほどまでに笑顔が自然にできている。どうしてこんなに女性と会話してくれるのだろう。女性と話して笑顔になってくれるのは、世界でもしかしたら彼だけかもしれない。彼の名前を知りたい。連絡先も交換したい。好きな食べ物は何だろう。朝昼晩、私が彼の好きなものを全部作ってあげたい。彼を私色に染めたい。夜はお風呂に一緒に入って、ベットで一緒に…
そう考えると体がだんだんあつくなってきた。
「それはともかくとして、私もトイレで長時間待っていたので行ってきてもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
私は下を向きながら公衆トイレに入っていく。何をしたかは言わないでおく。
読んでくれてありがとうございます。
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