9. 異世界転移したことを確信
前回のあらすじ
危ない人が増えてしまいました
鈴木さんが車に戻ってきて、
「お待たせしました、祐樹様。改めまして本日護衛させていただく鈴木香奈です。この後祐樹様どうなさいますか?」
「よろしくお願いします。あのとりあえず家に帰りたいので、家まで送って頂きたいです」
「わかりました、祐樹様。その後時間があればぜひ私の男性護衛機構に一度来てもらってもよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
「それでは向かいましょうか、案内していただけますか?」
途中で公園によりたい旨を伝えた。自転車を置きっぱなしにしたままだったし回収しないと。
そう思ってさっき来た道をそのまま戻って、公園を立ち寄って回収した。
そうして自宅だった場所に戻ってきた。けれど朝まで僕が住んでいた場には看板があって、売物件の文字が書かれていた。
「は?」
「どうしましたか?祐樹様」
「いや、僕が住んでいたのここなんですけど、どうやら売られているみたいです」
「この不動産つぶしに行きますか。男性にこんなことところに住ませているのもおかしいですし…。あとで私が連絡しておきます!それにしても祐樹様が家に帰ると言ってた時から、すこし疑問だったのですが、聞いてもよろしいでしょうか?
男性護衛機構で調べたところ祐樹様の戸籍がございません。私も資料を見たとき驚いたのですが、祐樹様?」
あぁ、それもそうか…
鈴木さんは不安そうに僕のほうを見ていたので
「大丈夫です。大丈夫ではないんですが、一旦自分の中で納得はしたんで…」
「そうですか。一人で悩むのもつらいですから、私でよかったらいつでも相談してくださいね」
鈴木さんから優しい言葉をかけられる。本当は相談したいけど、こんなこと相談できるわけがない。僕は男女比のおかしな世界に転移してしまったのだ。転移してしまったら、そりゃ戸籍もあるはずもない。家もなくなっていて当然だ。僕異世界から来たんです、なんていっても信じてくれる人なんていない。
「ところで先ほど男性護衛機構に来ていただきたいと言ったのですが、祐樹様、お時間よろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
「わかりました、祐樹様の戸籍登録等を行うので、時間かかってしまうかと思いますが、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。その、鈴木さんはとてもやさしい方なんですね」
「いえ…。それでは向かいます」
僕たちは、男性護衛機構に向かった。
ーーーーー
私たちは男性護衛機構に戻って、戸籍登録などを手早く済ませた。いろいろと面倒だったのは書類というよりかは、他の護衛官たちだった。周りの女どもがキャーキャーうるさかったので、全員を強引に黙らせた。
手続きが終わったので、ご主人様には待機部屋で待っていてもらった。
私が彼の専属護衛官にならなくてはならない。そのための絶対条件は、まずはこの職を辞めること。そうでなくてはご主人様以外の男性の対応をしなくてはならない。そんな時間は今後一切ない。なんならもうご主人様以外の男性ともかかわりたくない。朝から夜まで、ずっと隣で護衛しなくては!ご主人様と一緒にお風呂に入ったり、一緒にベットに入るってことですよね!そんな夢の生活ができると思うとワクワクが止まらないです。
私はご主人様に待っていてもらっているので、急いで退職届を執筆した。来月はやめようと思っていたけど違う理由で、今すぐやめなくてはならない。ある意味自分にとっては円満退職だ。
退職する旨は、ここにいる理由はなくなりました。私のご主人様が見つかったので離職します。
そんなことは書けるわけがないので、もうこの仕事に耐えられない。男性からの誹謗中傷に耐えられないと、その場しのぎの嘘を書き、社長に手渡した。社長に何度も止められたし、お前は優秀な人材だから残ってほしいと言われた。そんなこと言われたって、もうなびかない。私は泣いてどうかやめさせてほしいと懇願した。もちろん全部演技だ。社長がやっと諦めて承諾してくれたので、他の同期たちのことを全員無視して、急いでご主人様の元に向かう。
「お待たせしました、ご主人様!急いでここから出ましょう!」
「ご主人様?!どういうことですか?」
「いいから行きましょう!私とご主人様の逃避行の始まりです」
ご主人様と手をつないで、急いで駐車場に向かった。恋人つなぎしてしまったからか、心臓がバクバク鳴っているのが自分でもわかった。ご主人様の手は大きくて、しっかりとしていることも分かった。
このクソ機構からご主人様とともに逃げ去った。もうここに来ることは二度とないだろう。
ご主人様のお世話は、私が全部してあげるんです。
私はもう男性護衛官じゃないです。祐樹様専属護衛官です。
また良かったら読んでください。




