side先生 男子がきた
前回のあらすじ
先生はカギをしめたようです
私が青葉高校に勤めてから3年が経つ。私が青葉高校で先生をしている理由、青葉高校が日本でも数少ない共学の高校であるからだ。男子高校生の入学者数の年々減少していて、それは青葉高校でも同じである。青葉高校は毎年男子の受け入れを行っていて、男子に飢えた女子どもが恋愛をしたくて全国各地から集まってくる。毎年倍率は20倍以上となるほどの人気で、高難度な学力試験と厳しい面接を突破しなければ入学することができない。それは教師も同じことで、日本各地の優秀な先生が青葉高校で働きたくて、応募する。私も厳しい試験を突破して、やっとここで働けるようになった新米教師である。毎年入れ替えがある中で3年間もここで働いていられたことは、日々の努力が結ばれているからだと思っている。
今年から高校一年生のAクラスの副担任になった。1学年のクラスは3クラスあって、それぞれ40人の生徒がいる。女子生徒は入学試験の優秀な生徒の順にA、B、Cの順に振り分けられる。男子生徒はAクラスに5人、Bクラスに3人振り分けられて、Cクラスには男子生徒はいない。女子生徒の振り分けは学期ごとに行われ、その都度クラスが変わる。そのため、女子生徒たちは、下のクラスに落ちないように頑張って勉強をしている。
青葉高校がどのようにして男子生徒を受け入れているかは私も知ることができないが、毎年8人くらい入学する。しかし、男子生徒たちが毎日学校に来ているかと言われたら、ほとんど来ていない。来るときも午後に来たり、朝から学校に来るなんて見たことがない。今日の入学式も男子生徒は誰一人来ていない。こうなってしまった原因は男子生徒は多くの場合中学生を卒業するときに、もう家からでなくなって引きこもりになることが多い。女性からの性被害が多くて、女性に対して恐怖の感情を抱いてしまうからである。青葉高校ではそんなことがないように面接を実施しているため男子生徒も少しはくるようにはなっているが、完全にとはなっていない。
副担任は入学式の最中、職員室で担任の代わりに男子生徒が今日来てくれないか電話しなくてはならない。青葉高校に入学してくる女子は、男子と出会うために入学しているのにも関わらず、男子と会うことができない。そうすると、次第に先生のことを信用しなくなったり、最悪の場合不登校になる人も出てきたりする。。
私はもうすでに5人の生徒に電話した。いずれも着信拒否だったり、過保護な母親から息子がぐっすり寝ているから起こせるわけないでしょうと言われる。入学式から正直嫌になってくる。朝からなんで気分は落ち込まないといけないんだ。
頭を抱えていると、もう入学式が始まっているだろう、そんなときに職員室のドアからのノックが聞こえた。こんな時に一体誰だろう。そう思って返事をする。
「はい、どーぞ」
「失礼します。すみません、黒川祐樹というものですが…」
ドアが開いて 出てきたのはとんでもない美少年でした。驚いてしまって思わず大きな声を出してしまいました。漫画から出てきたんですか?そんなことを思わせるほど顔立ちが素晴らしいです。なにより、体格がいいです。一般的な男性と言えば太っていて横柄な態度をいつも女性にするのが普通です。ですが、この男の子はすごく礼儀正しく、でもどこか緊張した様子で職員室に入ってきた。
他にも職員室には何人か教師がいたけど、誰よりも先に彼に近づく。前もって今年入学する予定だった男子生徒の顔と名前は写真で覚えていたけど、彼のことは何も知らない。こんな美少年は入学しないのか。今年入学すればよかったのに…。
私は今までで一番の笑顔を見せて丁寧に対応する。すると彼は
「はい、赤葉高校に入学しようとしていたのですが、どうやらその高校がないみたいでどうしたらいいか分かんなくなって、ここに来ました。正直何もわからないから助けてほしいです」
ゆうきくんはこんなにもカッコイイのに、泣きそうな顔で私に助けを求める。この男子はどこか別世界から来たんですか、そう思えるほど私には天使か何かにしか見えなかった。なんで助けを求めているかわかんないけど助けないとそんな使命感に駆られた。
「そんなの絶対に助けます!私に任せてください、ゆうきくん!そうですね、ここで話していると、少々面倒なので場所を変えましょうか」
職員室にいる他の女教師どもと彼が関わってほしくないので、生徒指導室に彼を連れていくことにします。これで合法的に彼と二人っきりになれる。
生徒指導室を選んだ理由、そんなの内側からカギをかけれること。これで生徒指導室に彼と一緒に入ってしまったら、彼のことを独り占めにできちゃう。
そう思いながら彼と一緒に廊下を歩いて生徒指導室に向かう。なんだかとても緊張していて体は熱くなっている。
そうして生徒指導室に着いた。ゆうきくんを中に入れると私は生徒指導室のカギを閉める。
振り返ると、ゆうきくんはなんだか不安そうにしている。
「どうしましたか、ゆうきくん?」
「いや、どうしてカギを閉めたのかなって…」
「邪魔が入らないようにするためですよ。
ところでゆうきくん、二人きりですね」
私は彼に近づく。
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本日15時に上げます




