お嬢様は性悪だけど純潔?
少しずつ俺が転生した世界の全貌が見えてきた。
ここはミラゼニア王国といい、俺はシャルロッテお嬢様と呼ばれているようだ。
王族の血を引く有力者、ディアール公爵の長女で、あわよくば、幼き王子と結婚して、王妃の座につける。
そんな役どころのようだ。
王室は権力争いの真っ最中。
生き馬の目を抜くような醜い争いを繰り広げていた。
シャルロッテお嬢様も、俺の記憶がないだけで、それなりにひどいことをしているようだった。
田舎から出てきた下女は芋女と罵ってこき使い、次代の王子様のお気に入りの娘がいれば、周囲と口裏合わせて無視をしては精神攻撃。
周囲の噂話を聞いたところそんなことをしていたらしい。
ここまで、四方八方に敵を作るようなふるまいは、さすがに身の破滅を導くのでは?
対人スキルというものが磨かれず、日々、家に引きこもっている俺でもさすがに、色々とやばいフラグがビンビンに立っていることは感じるアンテナは持ち合わせていた。
「はーっ。疲れた」
お嬢様になって最初の一日のスケジュールをこなし、ようやく一人になることができた。
普段、緊張感のない生活をしている身としては分刻みでスケジュール管理されている生活は堪える。
最初の1日だから我慢できたが、3日目くらいで音をあげそうだ。
ストレスが俺の体にのしかかる。
だが、この体は小太り中年だった頃とは違い、20歳で、すらりとしている。
前世よりは疲れにくい仕組みになっているみたいだ。
っていうか、そもそも俺って女になってるんだよな。
むー。
昼過ぎに普通にトイレに行ったけど、ちんちんがないのは、心もとない感じだった。
お小水も大も普通に出るし、女の子も俺と同じ人間なんだなということを思い知らされたといいますか。
「はぁ……」
色っぽい声をわざと出してみる。
やばいですね。
自分の体からこんなかわいい声が出てるかと思うとドキドキする。
重いドレスを脱ぎ捨て己の体を触ろうとするが……。
「やーめたっと」
この世界は、おそらくはゲームがベースになっているので自分のステータスを見ることができるのだ。
肉体:純潔
と書かれていた。
性悪のくせに割と初心なところもあるんだな。
さすがに、せっかく守り抜いているものを汚すのは、かわいそうだからやめといてやるか。