悪役令嬢と義母。どっちも可愛い。
「あなたがシャウラ?」
なんだかんだと領地で手配に東奔西走すること1ヶ月。ようやく王都に移動してさらに1週間が経っていた。
世間はすっかり秋の気配だ。
そんな良き日、アケルナー公爵家のタウンハウスは緊張感に満ちていた。亡き公爵の公然たる隠し子であるシャウラが、ついに正式に敷居を跨いだのだ。
「…………はい」
実はわたし、シャウラちゃんが来ていることを知らなかった。知らされたのは10分前。朝食をいただいて、腹ごなしに庭の散歩をして、さて今日の予定はどうだっけ? と確認したところ……「カウス様とご一緒の面会予定がございます」と。既に彼女が到着済みであることを知らされた。
(信用ないにも程があるって言うか、性格をばっちり把握されちゃってるって言うか……。うぅ……カウスくんめっ!)
身分の低いヒトを待たせるのは当然、そんな風潮のある社会だということはわたしだってわかっている。わかってはいるが、気持ちは裏腹というヤツで。
だから、「前もって教えたら、ツィーナは出迎えに出ようとしますよね?」確信を持ってカウスくんにそう言われてしまえば、抗議する前からもう、ぐうの音も出ない。
現に、聞いてすぐに書類仕事中のカウスくんの部屋に突撃したし、「まだ早い」と渋る彼を引き摺って応接室に来てしまったし。
あはははは。ごめん、好奇心に負けました。
だって、娘よ!? 義理とはいえ、ついに娘ができるのよ!? 息子に次いで娘……憧れの大家族への第二歩目がすぐそこなのだ、落ち着いていられる方がどうかしている。
とはいえ、わたしだって一応、公爵家の後妻が務まる程度の教育は受けて来た。初対面で相手の性格やら何やらがわからない以上は、きっちり貴族モードで対面しようと思っている。
思っているから……横目で睨むのは止めてください、カウスさん。
「お顔を見せてくださる?」
扇子で口元を隠した「気を許してはいませんよ」アピールのまま、シャウラちゃんに声をかけた。
こちとら曲がりなりにも公爵閣下の正妻だ。気位は高く、親しみやすさは最低限に。庶民が無意識のうちに特別感を感じてしまう存在であってこそ、高位の貴族として相応しい……のだそうだから。面倒だけどね、わたしだってとりあえずは空気を読むよ。隣が怖いし。
「……似ているわねぇ」
間近で見るシャウラちゃんは、無表情な美少女だった。
肩甲骨あたりまで伸びた真っ直ぐで真っ赤な髪と、凍えるような水色の瞳が、我の強い印象を与える。特に、その射るようなキツい視線。はっきり言って、「何が不満で喧嘩売ってるのかな?」と訊きたくなるくらいに、キツい。
(さすが未来の悪役令嬢。まだ幼いけど、キっっっっツい感じがパッケージに似てるわ……。てか、やっぱり、カウスくんと目の色そっくり)
床に跪いていたシャウラちゃんにソファーへの着席を促し、わたしも向かいに腰を下ろした。
さすが、王弟にも顔を知られた公然たる隠し子だ。庶子として生まれたわりに、令嬢としての所作が様になっている。
偏見があるわけじゃないけれど……まぁ、彼女の母親は元々、貴族向けの高級娼婦だったらしいから、一般教養も礼儀作法もそれなりの基準は満たしていたはず。うん、そう考えれば、シャウラちゃんは、意外と普通の令嬢らしい、恵まれた育ち方をしているのかもしれない。
(んー……でもちょっと……マズいかも……?)
無言で座るカウスくんが機嫌を損ねているのは、傍目にも明らかだった。隣に居てもなかなかの冷気を感じる。
たぶん、あの視線がお気に召さないのだろう。同族嫌悪とでも言うのだろうか……眼鏡越しの冷たくて鋭い氷の視線が、長いまつ毛に彩られたキっっっツい視線と交差する。
「わたくしがツィーナ・ハダル・アケルナーです。今日からあなたの義母になります」
こうなったら先手必勝とばかりに、カウスくんが何か言う前に口を開いた。
じっとこちらを見る視線はキツいが、翳りがない。もう少し、『母』という単語に抵抗を見せるとか、こちらを値踏みするとか、嘲るとか……思春期の入口ならではの何かがあるんじゃないかなぁと思っていたのに、彼女の視線は平坦だった。むしろ、無表情なことも相俟って、何を考えているのかわからない。
「あなたのお部屋は用意してあります。……けれど……ここに住むかどうかは……シャウラちゃんが決めて?」
だから、わたしは思い切って踏み込むことにした。だって、兄妹仲改善がわたしの目的なのだ。いつまでも遠慮なんてしていられない。
「シャウラちゃんが望むなら、お母様と暮らした家に住み続けてもイイのよ。わたしはあなたの義母だしカウスくんは異腹兄で、これからは三人家族になるけれど、シャウラちゃんにとって心からお母様だと思える方は一人だけでしょう?」
じっと、透き通った瞳を見つめ返す。わたしの若葉色の目が、少しでも温かに見えていることを願って。
別にこれは打算でもなんでもない、本心だ。わたしはシャウラちゃんの義母。どうしたって実母にはなれない、そうわかってる。
……だって、カウスくんもそういうところあるんだよ。「母は亡くなった母一人だけです」って。できるなら「お母さん」と呼ばれたい気持ちは拭えないものの、心情までは強制できない。わたしが成れるのは「母代わり」。
「一緒に住んでも離れて住んでも、わたし達が家族になったっていう事実は変わらないわ。だから、ね、お互いに少しずつ、慣れていきましょう?」
扇子を外し、笑みを浮かべてみせる。少しでも、相手を安心させられるように、気持ちを込めて。
「ツィーナ様」
隣から余所行きの仮面をつけたカウスくんが咎めるようにわたしを呼ぶ。「何また勝手なことをしているんですかあなたはこれだから迂闊に表に出せないんですよ」という早口のお説教が副音声で聞こえるようだが、気にしない。
彼が口うるさいのはいつものことだ。言わずには居られない、そういう真面目な性分なのだ。そればかりは仕方ない。
……そしてまた。わたしがこういう性分なのもカウスくんには知られている。
仕方ない、お互い様だ、と思って欲しい。母代わり、息子代わり、娘代わり。バランスは良いのだから。
「ねぇ、シャウラちゃん。すぐには信じられないかもしれないけれど……わたし達はあなたを歓迎してるわ。ようこそ我が家へ。
……ん? 家族なんだから『おかえりなさい』かな……ね、どう思う? カウスくん」
「……ハァ。少し落ち着いてください。ほぼ初対面の相手から『おかえり』と言われる気持ち悪さを考えてみては?」
「カウスくんも口悪くない? でも、あー……確かに気持ち悪いわ。じゃあやっぱり、『ようこそ』かな。ようこそ、シャウラちゃん」
肝っ玉母ちゃんに憧れるわたしだけれど、実際に実物を見たことがあるわけじゃない。あれは、前世のドラマとかマンガとかの中の生き物だ。ましてや部分的にしか前世の記憶のないわたしにとっては、妖精とか幻獣みたいな架空の生き物。
だから、憧れは憧れとして、わたしはわたしにできることをしようと思う。
まずは……カウスくん対シャウラちゃんの構図を避ける。
真面目なカウスくんがシャウラちゃんの目付きを注意しようとするのは当然のこと。でも、顔を合わせた途端にそんな注意を受け続けたらシャウラちゃんが反発したくなるのも当然の心理だ。……となれば、二人の意識を互いから逸らしてわたしに向けるのがイイだろう。要は兄妹が貶し合わなきゃイイんだから。敢えて空気を無視するくらい、なんてことない。
「わたしのことはツィーナでもお義母さんでも、好きに呼んで? さすがに『おばさん』とか言われたら凹むけど……」
「当面は『ツィーナ様』と呼びなさい。……改めて……カウス・アケルナーだ。今から其方の兄になる。
それで? 其方はどこに住む? このまま帰って行っても公爵家として便宜をはかることは約束しよう」
さすがにくだけ過ぎたのか、カウスくんに深い深い溜息をつかれてしまった。
けれど、いくら大人っぽく見えても相手は子どもだ。イイ大人が少女相手に格式張って権威を振り翳すのもいかがなものか……。
ウェルカムムードを出すためにも、わたしはこのままくだけた雰囲気を継続する。
(なんだかんだ言ったってカウスくん、優しいし)
大家族に憧れるわたしが早々に外面を脱ぎ去ることはきっと彼にはわかっていた。「だからこそせめて自分は威厳を持って」……っていうよりはまぁ、カウスくんの性格的に、つい警戒しちゃうんだろうけど。相手が子どもだろうが何だろうが、一度は疑って慎重を期す。それが次期アケルナー公カウスくんだ。
でもって、たぶん、シャウラちゃんもそう。警戒心が強いタイプ。
わたしが人生二週目だからわかるのかもしれないけれど、彼女の無表情とキツい視線は警戒し、怯える気持ちの裏返し。精一杯の虚勢だ。わたし達を元来の高位貴族だと思うからこそ、彼女は侮られないよう、表情を一切出さないように頑張っている。
「ちなみに、ああは言ったものの、わたしは一緒に住めると嬉しいな。娘とお茶会するの、夢なのよ。あ、でも向こうの家に住んでても呼べば来てくれる? 一緒に買い物も行きたいし、女子トークもしたいし」
「……ここに住みます」
「え? イイの?」
「……はい」
シャウラちゃんの声はちょっと低めでよく通る。ハンサムなアルトとでも表現しようか。
……イイなぁ、わたし、なんかモニョッというかぼやんというか、はっきりしない声だから……羨ましい。通る声のが、肝っ玉母ちゃん感あるよね?
「ふむ。ではそれで。部屋に案内させよう」
「心から歓迎するわ!!」
警戒しまくりのシャウラちゃんがなんで一緒に住んでくれる気になったのかは不明だが、理由はどうあれ素直に嬉しい。
(仲良くなれるとイイなぁ)
くふふ、と笑みをこぼすわたしは、アケルナー兄妹がそっくりな水色の目でこちらを見ているのには気づかなかった。
亡くなった旦那様には悪いけど……わたし、今の方が楽しいです!!
※※
【Sideシャウラ】
自分が妾の子だと知ったのは幾つの時だったか。もう覚えていない。
ただ、血の繋がった両親を亡くして初めて、そのせいで自分はなかなかに難しい立場にあるのではないか、と気付かされた。
朝、上機嫌で迎えに来た父と一緒に母が出て行ったのも記憶に新しい、麗らかな昼だった。
突然ドンドンと玄関の扉が叩かれた。かと思えば、対応に出た我が家唯一の奉公人、メイドのケイトが血相を変えて戻ってきたのだ。曰く、「落馬事故で奥様が亡くなられ、旦那様も重体らしい」と。
正直、あの二人がどうなろうが知ったことじゃない。それなりの身分の人物なのだと言う父の気持ちを引き止めるため、美容とオシャレにしか興味のなかった母。わたしの顔を見る度に、「あなたもあのヒトを繋ぎ止めるための枷なんだから、ちゃんとわたしの娘らしく綺麗にしてちょうだい」と繰り返す。……どうやら母は、わたしが生まれる前に一度、この家を追い出されたことがあるらしい。わたしをロクに視界に入れようとしない父に効果があるのかどうかは非常に謎だが追い出されたら困るので、わたしは言われた通り、身綺麗にし、礼儀作法も身につけた。
なのに、その家主たる父も瀕死らしい。それはつまり……住居を失う危機だということ。かなり、マズイ。
困ったな……それが母の訃報と父の危篤の報せを受けて、唯一、わたしの脳裏に思い浮かんだ感想だった。
「災難だったね」
その日の遅く、父の友人のネフェリー卿が訪れた。年に一度、我が家を訪れるかどうかの彼は、父の気心の知れた友人なのだと聞いている。後になって思えば、わざわざ妾とその子を紹介する仲なのだ、相当だろう。
彼は父よりは若いものの、それなりにイイ歳……具体的には、三十代のはずだ。なのに、ウェーブを描く長い金髪を緩く束ね、黒に近い紫の垂れ目を柔和に和ませる姿は、わたしから見てもカッコ良かった。左目の泣きぼくろがやけに印象的で……たぶん、こういうヒトを「色気がある」と表現するんだと思う。ウチの母みたいに、全身が豊満な自称「お色気担当」じゃなく。
ネフェリー卿は母の葬儀を手配してくれた。子どものわたしにはわからないあれこれを買って出てくれるのはありがたい。ただ、「残念ながらお母上はドゥーべと同じお墓には入れてあげられないんだ。でも、できるだけ近くに埋葬するからね」と言われたのには戸惑った。
聞けば、父は領地持ちの貴族だったそうで、万が一の時には領地にある代々のお墓に入ると決まっていたらしい。けれど、母は貴族でも、妻でもない。一応、父と同じ墓地の片隅に埋葬することは可能らしいが、どことも知れないその領地のお墓を、今後わたしが管理するのは無理だと思う。無理を押し通すほどの愛情の持ち合わせもない。
だから、
「王都の共同墓所で構いません」
と思いきって切り出した。
ネフェリー卿は驚いた顔をしたものの、「お墓参りに行きやすい方がありがたい」とか「母は王都を愛していた」とかあれこれ捻り出した理由をつければ、最後は納得してくれた。……墓参りに行くかどうかは我がことながら未定だけれど。
父の死を知らされたのは、母の埋葬を終えた直後だった。実は同時に亡くなっていたのに言い出せなかった、と言うネフェリー卿に連れられて、父の葬儀に向かったのはその翌日。
「申し訳ないが、今はまだキミをあちらに紹介するタイミングではないんだ。今日のところは一般参列者として参加してくれるかい? 必ず、近いうちに堂々と墓参りできる立場にすると約束するよ」
同情と憐憫に満ちた彼は、今まで見た中で一番立派な服を着ていた。
葬儀なのだからフォーマルな格好をするのは当然だ。けれど、そんな次元の話じゃない。生地も装飾も佇まいまでもが、すべて段違い。それが嫌味なく似合っている姿に、目の前の彼が実は、自分の想像を遥かに超えた大物なのではないか……と怖くなった。
わたしを残して離れて行ったネフェリー卿に、遺族らしい立派な身なりのヒト達が挨拶している。することもないからと彼を視線で追っていて……やはりネフェリー卿も父も、実は超大物貴族だったのではないか? という疑いが強まった。この葬儀もそうだが、あれこれお金がかかり過ぎだ。
(貴族の力関係なんて、いまいちわからないし……わたしには無縁よね。それより、自分がこの先どうなるか、よ)
父に本妻と子がいることは知っている。恐らく、あの神経質そうな、眼鏡をかけた男のヒトが跡取りなのだろう。輝く銀髪を後ろに流した立ち姿は如何にも貴族。切れ者の文官、そんな印象の青年だ。
(隣の女の子は……誰だろう……。わたしの他にも娘が居るなんて聞いたことなかったけど……)
とはいえ、ネフェリー卿に劣らず立派な装いの青年の隣に並んで、まったく引けを取らない優美な少女だ。本宅に住む父の娘なのだろう。または、跡取りの彼の婚約者、とか……?
自分よりほんの少し歳上に見える、桃色の髪の少女は可憐で儚げ。大きな淡い色の瞳は潤んでけぶり、なんとも庇護欲をそそる風情があった。
(わたしとは全然違う……)
この世のキレイな部分だけ集めたかのような彼女に、嫉妬とも怒りともつかぬ気持ちが湧き上がる。兄らしき青年が彼女に向ける表情が、見紛う程に優しいことにも腹が立つ。
愛されて育ったんだろうな。そう思わせる、花のように愛らしい少女。比べて自分は、明日を知れぬ身。
「今日からあなたの義母になります」
だから、目の前の少女がそう言った時、
(このヒト……頭が可哀想なヒト……?)
己が耳より相手のメンタルを疑ったのは、仕方の無いことだと思う。
だって……どんなに多く見積もっても5歳歳上の……正直に言えば2つ3つしか変わらないような女の子が、自称義母。無理がある。というか、無理しかない。
…………けど。
(え、ホントに……?)
苦虫を噛み潰したような顔をしつつ、あちらとこちらを見比べる青年が、否定しない。むしろ、何かを諦めたような溜息をついている。
(この可愛い子が、父の正妻……???)
それって犯罪じゃないんだろうか。貴族だからイイのか? あんな父でも、なんか滅茶苦茶偉い貴族らしいから、許されるのか??? え、この子、普通に可哀想な子?
パニックのあまり、元々乏しい表情がスコーンと抜け落ちた。だって、どんな表情をすればイイのかわからない。元々無愛想と言われるわたしだ、こんなイレギュラーに対応できるレパートリーは持ち合わせがない。
しかも彼女の喋り方は、これまでの人生でまったく馴染みのないもので……どう対応するのが正解なのか。
これから生きていくうえで、この二人の機嫌を損ねたらマズいことはわかっている。父母を亡くしてから1ヶ月ほど、日々、ドキドキしながら暮らしてきた。いつどんな理不尽が降りかかったって、わたしもケイトもどうにもできない。すべては、本宅様の気まぐれ次第。
ただでさえ緊張しているのに、さらなる混乱の坩堝で口数が減るのが自分でわかった。
表情はないわ口下手だわ。こんな可愛げのない娘じゃ、好感度なんて求めようもない。いっそ泣いてしまえれば楽なのに……自分でも愛嬌の無さにガッカリする。
「歓迎するわ!!」
(本当に大丈夫なのかしら……なんだか心配になる子だけれど……。少しくらい疑ってかかるのが人並みの反応よね……? この子が義母って……大丈夫……?)
彼女はなぜそんなにも嬉しそうなのか。作り笑いだとか演技だと、そういう風には到底見えない。なんとも開けっぴろげな笑顔だった。
「部屋まではこの屋敷のメイドを付ける。わからないことがあれば彼女に訊いてくれ」
「行ってはいけない所も特にないし……シャウラちゃんの好きに過ごしてね。あ、でも、お昼ご飯は一緒に食べましょう? ね、カウスくんも」
義母だという目の前の可憐な少女が何をどう考えているのか、全くもって未知数だった。やけに浮かれて見えるのは気のせいだろう。
しかし、既に元の家は引き払ったし、ケイトもわたしと一緒にこっちの屋敷に来ているのだ。暗に「出ていけ」と言われていたのだとしても、わたしにはもう、行く先がない。異母兄が口にした「便宜をはかる」という言葉も、難しくてよくわからない。
つまりわたしが生きていくためには……ここに居させてもらうしかないのだ。
無い無い尽くし。物もなければ知識もない。
「……ツィーナ、悪い暴走癖が出ていますよ」
「え!? どこら辺に!?」
なんとも愛らしい素振りを見せる、小動物のような義母を見遣りながら、わたしはこれからの生活を思って気持ちをギュッと引き締めた。




