1、運命を変える出会い
「あんた、誰だよ、てかなんで浮いてるんだ?」
訳も分からずそう尋ねる日々希に、女性は話し始めた。
「そういえば自己紹介、まだだったね。私の名前はコサメ。この星を外部から守っている神よ」
「紙って、人間じゃないの?」
「そりゃそうよ、何て言ったって神様だもの」
「え、ペーパーの方の紙じゃないの?」
「えっと、、何を言っているの?」
しばらく沈黙が続くが、コサメと名乗る女性は話を続けた。
「それで、今日は君にお願いがあって来たの」
「お願いというのは?」
「...私たちに力を貸して欲しいの」
「...え?」
「私たちに力を貸して欲しいの」
「いや、二回言わなくても分かりますって」
「じゃあ、私についてきてくれない?」
「ちょ、ちょっと待って、展開についていけないです。まず、なんで伊吹たちが動かないか説明して欲しいんですけど」
そう言って日々希は伊吹をもう一度強く揺さぶるも、やはり何の反応もなかった。
「えっと、それはね、この子の能力なの」
そう言ってコサメはさっきとは別の生き物を召喚した。
「この子はタイムゴリラのゴリー。対象者以外の生物の時間を止めることができる生き物よ」
日々希はゴリーを観察するも、明らかに地球の生物ではないことしか分からなかった。
「そ、そうだったんですね。ところで、先ほどおっしゃっていた、希望の人間というのは?何のことなんですか?」
「それについてなんだけど、希望の人というのは私たちの星の予言に関係しているの。私たちの星では二つの大きな勢力がぶつかっていて、今私たちは不利な状況なの。そんな私たちの勢力を唯一勝利へと導いてくれるのが希望の人であり、貴方よ」
「なんで僕だって分かるんです?間違ってるかもしれませんよ?」
「あ、それはないわ。私たち神が見えるのは希望の人だけって予言で言われたからね」
「そうですか...」
「じゃあ、私たちを救ってくれる?」
「イヤです」
「え?」
「イヤです」
「二回も言わなくていいって言ったの貴方よね?」
「イヤです」
「三回目は勘弁して」
「僕はそんな見ず知らずの神様のいる星を守る資格はありません。実際、僕は関係ないですし」
「いや、関係あるわよ?」
「え?」
コサメはある巻物を取り出し、日々希に渡した。
「そこにも書いてあるけど、私たちの星の名は、スターインゴッド。その名の通り、様々な星を守っている神が住んでいる星。神は、一人一つの星を守っているのだけど、守っているのはあくまで外部。隕石とか、他の星の生物とかからは守ってあげれるけれど、内部で起こった災いや争いから守ってあげることはできないの。それで、私たちはその内部の争いから守ってあげるか見捨てるかで長年議論を続けてきた。私たちの勢力は守る側で、一人でも多くの命を助けるため。相手側は、争いをする種族は自分たちで絶滅させるか、自分たちで滅びるのを待っている。しばらくすれば、新たな種族が生まれ、再び星は平和になると考えているのね、バカみたい。みんながそんな争いを望むはずがないのに。それだけなら和解できそうだったからまだよかった。でも最近になって、一部の神が争いをする星は星ごと消せばいい、なんて言い始めたから、その神々と闘っているの。相手は私たちより少人数だけど、一人一人の力が圧倒的に強い。このままじゃいずれこの星も消されてしまう。この星の争いは他の星と比べても上位に入っているわ。時間の問題よ。だからお願い、私たちに力を貸して欲しいの」
神々の歴史を知り、これから起こるかもしれない最悪の未来を想像した日々希は、先ほどの躊躇いは一切なかった。
「分かりました。この星の未来をかけて、自分にできる範囲で手助けさせていただきます。人間の僕が神様に闘う術があるのかは分かりませんが」
「心配無用よ、なぜなら私たち神が皆持っている、称号を授けるからね」
「称号?って何ですか?」
「それは私たちの星に着いてからのお楽しみ、さっそく行くでしょ?」
「もちろんです!」
そう言うとコサメはゴリーとは別の生き物を召喚し、呪文を唱えた。
「記憶改変!!...これで大丈夫」
「えっと、今のは?」
「君のことを知っている人の記憶を書き換えたの。これで貴方が居なくなっても誰からも気づかれない。行方不明ってことにしておいたから」
「あ、ありがとうございます」
「ところで、まだ名前聞いてなかったね、何て名前なの?」
「そうでしたね、僕は日々希です」
「日々希君ね、それじゃあ、今日から日々希君はゼンって名乗ってね」
「...ヘ?、、えっと、、つまり、どういうことですか?」
「人間を快く思わない神も中にはいるわ。貴方の名前がその神に知られてしまったら、あっという間に殺されてしまうかもしれないわ。だから、一応安全のために、名前を変えた方がいいと思って」
「そういうことなら、名前を変えておきます。ゼン、でしたっけ?」
「ええ、後、くれぐれも自分の名前を忘れないようにしてね。スターインゴッドは本来、多種族は入ることを禁じられているから、自分の本当の記憶を全て忘れてしまったとき、この宇宙から消されてしまうの。だから絶対に忘れないでね」
「はい、気をつけます」
「それじゃあ、準備も整ったことだし、スターインゴッドに行きましょうか」
「その、ゴッド何とかはここからどれくらい時間がかかるのですか?」
「スターインゴッドだからね。そうね、15分くらい?」
「え、早すぎません?」
「ついてきて」
そう言ってコサメは日々希を連れて目的地へと向かった。
15分後、、2人はというと、まだ地球にいた。
「あの、ここって、僕が通ってる学校なんですけど」
「ここがスターインゴッドに繋がる門、インゴッドゲートがある場所よ。ほらね」
コサメは日々希を体育館の裏の倉庫の前に連れて行った。そして、コサメが前に立つと、倉庫のドアは青く輝き、立派な門へと姿を変えた。
「今から呪文を唱えるから、よーくみておいてね、...ドドリアル、セリーストライフ、シャイニンググローラー、エンドレスロードオブ、ゴッド!」
するとさらに扉が光を放ち、勢いよく扉が開いた。
「さあ、入りましょ。私から離れないでね」
時間があったので、プロローグに続いて投稿しました。ですが、まだ次回投稿は未定です。引き続き、「神々の星」をよろしくお願いします!