プロローグ
ここは、地球。その中の島国の、小さな山の麓に、一人の少年が住んでいた。彼の名は、相澤日々希。地元の高校に通う、どこにでもいそうな普通の高校生であった。そう、あの日までは。
その日の朝、日々希がいつも通り学校の支度をしていると、一人の少女が家の中に入ってきた。彼女は木下紗奈。日々希の幼稚園からの幼なじみで、いつも一緒に登校している。
「紗奈、お前また人の家に勝手に入ってきて、何しやがるんだよ」
「いや、ひーくんが遅いから。もう遅刻するよ?今何時かわかってる?」
「えっと、7時過ぎくらい?」
「残念、8時過ぎてるよ」
「やっべ、遅刻じゃん!」
「だから言ったじゃん、もうすぐ最高学年になるんだよ?しっかりしてよね」
「わかったわかった」
日々希が全く反省していなさそうにそう言うと、2人は急いで学校に向かった。
「ギリギリセーフ、やっぱ家が近いっていいよな...」
全速力で走った2人は、チャイムがなる前になんとか教室にたどり着くことができた。
「紗奈、大丈夫?また相澤に振り回されたんでしょ?一発殴ってこようか?」
「いや、やめてあげて」
「なんでよ、だって学校一の美女を毎日遅刻させようとしてるんだよ?」
「大丈夫だって、幼なじみだし」
「ホント紗奈って優しいよね。それに比べてあのドアホ、呑気に寝てるし」
紗奈を囲んだ女子たちがそう話しているところに、先生がやって来た。
「はい、みんなチャイム鳴ったよ。着席しようね」
そういわれて教室の皆は席に着いた。
「出席とっていくよ。相澤...って、いつまで寝ておるんだ。起きろ、相澤ー」
「ちょ、ひーくん、起きなきゃヤバいよ」
紗奈が耳元で囁くも、日々希は起きる気配すらない。
その時、教室に見知らぬ金髪の男たちが入ってきた。
「なんですか、貴方たち!、うっ...」
「せ、先生?」
教室に銃声が響き、先生の脇腹を貫いた。
「お前たち、騒ぐんじゃないぞ。もし騒いだ奴がいたらこの場にいる者全員殺す」
その言葉を聞いて、教室は静まりかえった。
「俺たちの要件は単純だ。相澤日々希という男がこの学校にいる。そいつを差し出せ。あいつは俺らをボコボコにしやがった、只じゃ済まさねぇ」
「いいぞ、兄貴!」
周りにいた者たちはそう言って刃物や銃を取り出した。一方、生徒たちはというと、一斉に寝ている日々希の方に、視線を向けた。
「おい、そこの寝ているのを起こせ。礼儀を教えてやる」
「分かりやした、兄貴!」
「相澤のやつ、何やらかしたんだ?」
付近の男子が小声で話す中、男たちがたどり着く前に、日々希は目を覚ました。
「おい、兄貴が呼んでる。おとなしくこっちへ来い」
「誰だ、あんた達」
「俺たちは薔薇ノ茎。この辺じゃ割と有名な不良だ。」
「ナニソレ」
まるで頭がおかしい奴らを見ているような目付きで男達を見る日々希に、腹が立った金髪の男は銃を向けた。
「お前ら、そいつを殺れ」
待ってましたと言わんばかりに、周りの男達はナイフを片手に、日々希に切りかかる。
しかし、その男達を日々希は次々と涼しい顔で倒していく。
「ザコじゃん。もっとましなのいねーの?」
「それじゃあ俺が殺してやる。一撃でな」
金髪の男はそう言うのと同時に日々希に向かって銃を撃った。直後、鈍い音がして、どちらかが地面に倒れた。
「ひーくん、?、え?」
「え、相澤!?な、なんで?」
紗奈を含め、皆が驚愕の表情を露にする。なんと銃で撃たれたはずの日々希が金髪の男の上に乗っていたのだ。
「え、どうしたの、そんな声を出して、こんなザコに負けるわけないって言ったよね?てか一回倒してるし」
そう日々希が言うと、金髪の男は残り少ない体力で、力を振り絞って何かを言おうとする。
「な、、お、お前、ま、さか、相澤、日々希、なのか?」
「ったく、一度倒されたなら顔ぐらい覚えてろよな。俺がお前らのことを忘れていたとでも思ったか?」
「ク、ソ、また俺は負けた、の、か、、」
そう言って男は意識を失った。
「相変わらずのバケモノっぷりだな、日々希」
彼の名は斉藤伊吹。この学校一のモテ男であり、性格もとても良いため、学校中の皆に慕われている。
「てかさ、俺が起きなくても伊吹一人で倒せてたくね?なんで見てただけなんだよー?」
「バカ言うなよ、相手は銃持ってたんだぞ?みんながみんなお前みたいに弾を避けられる訳じゃないんだよ」
実は先ほど、金髪の男は確かに日々希に向かって銃を撃った。本来であれば、その弾は日々希の頭を貫き、即死するほどであった。しかし、何故か日々希はその弾を避け、直ぐに金髪の男との間合いを詰め、頭に鋭い蹴りを入れたのだった。
「あ、あの、私を早く手当てしてもらえないかな?そろそろ出ている血の量が凄いことになっていると思うのだけど」
「あ、センセー忘れてた」
そこに救急隊と警察官がやって来た。救急隊は先生
を急いで救急車に乗せ、その場を後にした。一方警察官はというと、倒れていた薔薇ノ茎のメンバーを拘束して、車に乗せた。そして、一人の警官が校長を連れて教室に入った。
「皆さん、この度は危険な目に逢わせてしまい、誠に申し訳なく思う。薔薇ノ茎のメンバーはこれで全員逮捕したから、安心していいよ」
「生徒諸君、安心して授業に取り組むとよい。かわりに安藤先生に授業を引き受けてもらった。織田先生については、容態が分かり次第、連絡する」
そう言って校長と警官はその場を後にして、残った安藤先生が授業を始めた。
その日、日々希はいつも通り、伊吹と一緒に帰っていた。紗奈は学校帰り、女子たちに囲まれて帰るため、日々希は親友である伊吹と帰っている。
「織田先生、命に別状ないって」
「ああ、よかったな」
「それにしてもさ、日々希はどうやって弾を避けれるようになったんだよ。町の不良倒していくうちに強くなりすぎたか?」
「はは、そんなわけないだろ、俺の家の流派が特別なだけだよ。伊吹も十分強いよ」
そう話しながら2人はゆっくり帰っていた。
「あれ?なんだ?」
しばらく歩いていると、日々希は空の上に浮いている、謎の生き物を見つけた。紅色に染まっている、虎のような生き物だった。日々希は自分の目を疑った。
「なあ、伊吹、あの変な生き物見える?...おい、伊吹?どうしたんだよ?!」
日々希が伊吹の方を振り向くと、伊吹は立ったまま動かなくなっていた。伊吹の体を強く揺さぶるも反応はなかった。そして、辺りを見回すと日々希は衝撃の光景を目にした。なんと、伊吹を含め、飛んでいる鳥、近所の住民など、周りの生き物は全て止まって見えたのだ。いや、止まっていたのだった。
「あれ、やっぱり見えてるよね?」
女性の声がして、日々希は辺りを見回すも、全員止まっていたので、再び空に目を移すと、先ほどの生き物がこちらをじっと見つめていた。
「貴方が希望の人間ね、名前聞いてもいい?」
そう言うと生き物はみるみる姿を変え、美しい女性に変貌を遂げた。
ついに始まりました、神々の星!なんですが、今は学生で忙しいため次回掲載日は未定です(泣)
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