神々の創り給いし、この世の中で
むかしむかし、それよりもまた、遥か昔。
まだこの世ができて間もない、創世の頃のことです。
天に合わします母なる三柱の神々が、この世をおつくりになられました。
緑豊かな恵みの地を。
悠然と広がる果てない空を。
ありとあらゆる生命を。
この世に存在するその全てを、おつくりになられたのです。
しかし愚かな生き物たちは、神々のご意向に反し、良かれと思って与えた「魔法」という力を使って戦争と殺戮とを繰り返しました。
神々は大層悲しまれ、一体どうすれば愛しい命たちが手を取り合い、仲良く暮らしていけるのかを考えたのです。
そこで、神々はある名案を思いつきました。
命は有限であり、考え方や在り方は常に変わっていく。一度学んだことでさえ、世代が変われば、先祖が辿った過ちを再び繰り返してしまうのだ。
ならば、転生を繰り返し、知識を次世代に受け継ぎ、常に人々を導くことのできる特別な存在を生み出してはどうか、と。
神々はそれらの天命を、生命体の中でも特に高い知能と理性を併せ持つ一族、「ヒト」にお与えになりました。
かくして、それらの天命を受けた「円環の魔導師」と呼ばれる十の命は、転生を繰り返しながらあらゆる世に生まれ、そして常に、世界をお導きになられたのでございますーー。