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巫女少女と稲荷神  作者: 赤月稲荷
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退魔少女は中学生

☆登場人物☆

赤月紅葉……物語の主人公。中学二年生。四歳のときに近所の神社で稲荷神と出逢い契約を交わして退魔少女になった。


稲荷神……神社に祀られている狐の神様。三百年ものあいだ神様を務めていた。紅葉と出逢い彼女と契約を交わす。




 十年前、紅葉は稲荷神と契約を交わした。それは退魔少女となって悪霊や妖怪などを祓うというものだ。

「退魔少女ってなに?」

《契約を交わせば神となりその力を使うことができるが、神にはなれぬ人間にはその代わりとなる姿が与えられるのじゃ。 その姿になった人間を退魔師、少女を退魔少女と呼ぶ》

「うーん、よく分かんない……」

 紅葉は首をかしげた。

《今はまだ分からなくともよい》

 稲荷神は言った。



 * * *



「はぁ……、あのとき契約なんて交わさなけりゃ普通の中学生だったのになぁ」

 紅葉はため息を漏らしながら屋上で弁当を食べていた。隣には稲荷神が自分にも食べさせろという目で紅葉を見ている。

《なにを言っておる、そなたは普通に学び舎に通っておるではないか》

「そっちこそなに言ってるのよ。 毎日のように悪霊や妖怪のイヤな気配を感じてる私のどこが普通よ」

 そう言いつつ紅葉は稲荷神に弁当のおかずを食べさせる。稲荷神は実に美味しそうに頬張った。

《よいではないか。 他の者ができぬような経験ができるということは今後のそなたのためになるかもしれぬぞ》

「な、り、ま、せ、ん!」

 紅葉は声を大にして言った。

 紅葉が屋上で弁当を食べているのは他の生徒がいないためだ。稲荷神は力を持たない普通の人には見えていないため、今の紅葉の姿を見たら『大声で独り言を言うおかしな少女』というレッテルを貼られていただろう。なんとしてでもそれだけは避けなければならない。

《我は神として三百年もずっと孤独だったのじゃ、慰めると思ってじゃな……》

「かまってちゃんか! 大体、物心ついてないかもしれない女の子にそんな頼み事──」

 とそのとき、紅葉はなにかイヤな気配を感じた。どこか気持ちの悪いような、居心地の悪いような感じだ。

《これは悪霊じゃな。 どこかに現れたのじゃろう》

 稲荷神は匂いをかぐ仕草をする。これで悪霊の大体の位置を把握するのだ。

《まずい、どうやら駅前のようじゃ。 悪霊を野放しにしておけば大量の犠牲者が出る》

「そんな! 急がないと!」

 紅葉は弁当を片付けるとカバンの中から指輪を取り出した。それは退魔少女になるための契約の指輪で、身につけると神の力を自らに宿すことができるのだ。紅葉は指輪を左手の薬指にはめて唱えた。

神装しんそう!」

 すると、紅葉の着ていた制服が巫女装束に変わった。それだけではない。髪には鮮やかな髪飾りが、ショートヘアは腰まで届く長さに伸びる。紅葉はどこにでもいる女子中学生から大人びた和装美少女に変わった。

《行くぞ、紅葉》

「ええ!」

 紅葉と稲荷神は屋上から飛び降りてそのまま駅前へと向かって走った。




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