不満が爆発しました!
「はぁ!?なによそれ!?魔王様もなにしてくれてんのよ!」
やはり真っ先に不満を口に出したのはリリスだった。
「っていうかあたしこれから地元との友達と遊ぶ約束あったんだったんだけど!」
「仕方ねーだろ。俺だって今すぐ帰りてーけど、こいつが玉持ってるんだ、俺らは従うしかない」
「うっそ、こんなぼーっとした顔の奴が!?玉の持ち主!?」
「あぁ、コイツの右手を見てみな。契約の印がある」
あ、この右手実はそんな意味があったのね。
「ちっ、最悪…」
「ぶわっはっは!よいではないか!魔王様のために働けるんて光栄なことではないか!」
「うっさいじじい!」
次に口を開いたのは常に豪快に笑っているドワーフだ。コイツは今の現状になんの不満もないらしくずっと光栄だなんだと言っている。コイツが最初に召喚されなくてよかった…。
「ふむ、つまりはこの頼りない顔をしているククルくんという方が僕たちの主ってことになるのかな?」
「頼りない顔って言うな」
「すまない、僕は正直なんだよ」
「なお悪いわ!」
冗談だよとカラカラ笑いながら笑うこの美形は狐の獣人?だ。
正直獣人なのはわかるが、人の顔に動物の耳と尻尾がついているだけだから、尻尾を見るしか判別方法がなく、おそらくあの尻尾は狐だ。
「あ、あの、そんなことよりちょっといいですか…」
「あ、ごめん、何か質問?」
話しかけてきたのは人魚の女の子で、少し青い顔をしていた。
「み、水のあるところに連れて行ってください…」
「え、あぁ!そっか!だから苦しそうにしてたのか!ドワーフ、彼女を水源に連れて行ってあげて!」
彼女はどうやら地上で生活することはできないらしく、すでに目を回していた。
ドワーフは「了解した!」と大きな声で言うと人魚を抱えて水源へと猛スピードで向かった。
「……(ぽよん、ぽよん)」
「さて、問題はコイツだよ」
僕の横でずっとぽよんぽよんとはねている赤いスライム。こいつは顔もなければ言葉も話せない。意思疎通ができないため、理解しているかどうかもわからない。
「なァサタン、こいつって理解してるのかな?」
「さぁ、わからん。だが、発光している所を見ると理解はしているみたいだぞ」
「あ、これって意思表示してたんだ!?」
やけに眩しいとは思ってたけど、そういうことか。
「みんな、とりあえず、思う所があるとは思うけどよろしくね。正直俺も納得してないけど」
「うん、よろしく頼むよ我が主」
「ふんっ」
「しょうがねーしな…」
「(ぽよん、ぽよん)」
いい反応を見せるのは獣人だけで、サタン達はもう嫌な顔をしている。
「まぁいい、とりあえず全員のステータスを確認してみな。じゃなきゃ仕事も振り分けられないだろ」
「え?ステータス?」
「あぁ、召喚の画面にあるから」
召喚の画面を見るとたしかに『ステータス確認』の画面があった。
「まぁ、そうだね、名前もわからないし確認してみよう」
ステータス画面を確認すると、意外な事実が判明した。