契約完了しました!
本当に馬車で送り出され3時間、俺は広大な土地を前に絶望していた。
周りには何にもないし、人の気配もしない。
「あのじいさんすごい人だと思ってたのに…」
詐欺に遭った気分だ。
親も「穀潰しが出て行くきっかけだ!助かった!」って喜んで送り出しやがった。
「とりあえず、なにすっかな…」
とりあえず、今日からここで暮らさなければならない。だが、寝泊まりできそうなところもない。
とりあえず、あのじいさんに渡された玉しか手元にはない。
「何なんだこの玉は…」
ほかに頼れるものもなく、玉をなでてみた。すると突然玉が光りだした。
「うぉ!?」
驚いて手を離すと、玉から声が聞こえてきた。
『おいじいさん!聞こえっかー?』
「は?女の人の声?」
『あれ?じいさんじゃない?あんた誰だ、じいさんは?』
「え、俺はククルだけど…。じいさんって、あの酔っぱらいのじじい?」
『あー、そうそう。あのボケじいさん。なに?あのじいさんめんどくさくてククルくん押し付けたわけ?』
「は?押し付けた?」
『せんぱーい、どうしますー?この子なんにも知らないみたいなんですけどー?』
『え?まぁいいんじゃね?とりあえず契約させちまえ』
『りょうかいでーす。あ、ククルくん、この玉に触ってくんない?』
「いや、契約とか怖いんだけど。つか俺は経験値を稼いで強くなりたいんだけど!!」
『あぁ、君が経験値手に入れてもスライムぐらいにしか強くなれないし、諦めなー』
「ひでーこと言うなおい!俺の今後の目標を鼻で笑うな!」
『まぁとりあえず触ってよ。時間ないしー』
もう話が進まない。
とりあえず進展させるしかないし、言われた通り右手で玉に触ると手に焼け付くような痛みが来た。
「いってー!なにしやがった!」
『契約だって。これであんたも魔王軍の一員だから』
「は!?魔王軍!?」
『そうそう、とりあえず手を見てみな』
言われた通りに右手を見てみると、手の形が変わり、鋭い爪の生えたモンスターの手になった。
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!」
ここから俺は魔王軍の領地を拡大していくことになる。