女神に頼ることにしました!
「え?街?」
「うん、街だよ」
ここでついに俺はワイルドカードを切った。
「この『買い出し』ってやつなんだけど、どうやら街にワープさせてくれるボタンみたいなんだ」
「そんなものがあったんですか?」
「うん、あったよ」
「ククル、お前そういうことは先に言えよな!すぐ解決できんじゃん!」
「そうだぞ、オメェなんでそういうのすぐに言わねぇんだよ!」
サシャに続いてサタンも怒りながら抗議してくるが、これは使ったところで解決しないから困っていたのだ。
「……お金持ってる人いる?」
「はぁ?金?」
「僕は少しならちょうど持ってきているけど…」
「私も少しならあります」
「わしはないぞ」
「あたしは何にも持ってきてないからゼロだね」
「……俺は無い」
ふむ、2人は持っていたか。なら。
「じゃあ2人に聞くけど、人間界のお金は持ってる?」
「いや、それはないです…」
「僕も持っていない」
「うん、だから言わなかったんだ」
そう、このチームは貧乏なのだ。家柄とかで言えば大金持ちばっかかもしれないが、ここは人間界だ。魔界のお金を出しても1ガリルの価値にもならない。
「けど、おめぇは人間の出身だからあんじゃねぇのか?」
「俺も1ガリルも持ってないよ」
「はぁ!?なんでだよ!?」
「……村ごと引っ越されて俺の財産がなくなったから」
「な、なんの話だ」
「俺がなんの話か知りたいね!いきなりめちゃくちゃなこと押し付けられたからキレて村に戻ったら村がなかったんだよ!」
そう、俺の財産は村とともに消えたのだ。タンスの下から三段目の底にかなりの貯金もしてたのに!!!
俺が叫ぶと、周りのみんなはすごく優しい顔をしてくれた。心が痛むからやめてほしい。
「じゃあ、街に行ってもなんの意味もないじゃんか…」
「……いや、ある」
「主よ、人間界の事情はよく知らないですが、お金の持たない者に分け与えてくれる人でもいるんですか?」
「いんや、悪いけど人間は魔族より冷たい。心の底まで冷え切ってるよ」
じゃあどうやってとゴンゾが聞いてきたが、答えは簡単で、いたってシンプルだ。
「金がないなら稼げばいい」
「はぁ?時間ねぇのにおめぇ何言ってんだ?バイトでもするってか?」
「ばいとってのが何かはわからないけど、そんなに時間はかからないよ。多分3時間で戻れる」
「ククル殿、それはどうやってやるんですかな?」
みんな忘れている様子だ。まぁ無理もない、普段は何の役にもたってないやつを使う危険な賭けだからな。
そう、まさに賭け。
「みんな忘れてないか?うちにはそういうのに得意な奴がいるだろ?」
「……おめぇ、まさか…」
俺が何を企んでいるか気づいたサタンが青い顔をする。まぁ無理もない、俺もなるべくならコイツには頼りたくなかった。
「……リリスに大量の金を稼いでもらうんだよ」
そう、ギャンブル狂いの幸運の女神にな。