腹の虫が鳴きました!
「じゃあ、今日のポイント発表するよ」
1日も終わり、辺りに明かりはなくなっていた。唯一ある明かりといえばさっき火をつけたばかりのこの焚き火だ。
「「じゃあ、今日の結果発表。今日の合計は昨日より増えて『1500pt』集まったよ。割合は農場「0pt」植林場「500pt」水源が「1000pt」だ」
「相変わらずスゲェな、キリの浄化能力」
「うん、俺も驚いたよ。多分源泉の大きさが大きくなったからその分ポイントも入ったんじゃないかな」
「キリ、本当にすごいわね!」
「ううん、昨日も言ったけど、私はただぼーっとしてるだけだから。それよりも昨日よりポイントが上がったゴンゾさんたちの方がすごいよ」
「ぶわっはっは!なんせ今日は2人で作業したからはかどったんだ!」
「へ、さすが俺って感じだよなぁ」
ゴンゾもサタンも確かに今日は頑張った。けど…。
「最後の火事でポイントはマイナスされてるし、最後の作業速度も落ちたから2人の手柄というよりゴンゾの手柄って感じだけどね」
「はぁ!?マイナスとかあんのか!?」
サタンが慌てて玉を確認したが、『火災:-300』と表示されていた。
「俺もさっき見て唖然としたよ。まさかマイナスなんてあるとはね」
「なるほど…。つまりなにか事件が起こればその分引いていくんですね」
「あぁ、だから今後人数が増えてもちゃんと適材適所を真剣に選んでいかないと、もっとマイナスされるかもしれない」
「玉の仕組みは小さい頃おふくろから聞いてたから知ってたつもりだったんだがな…」
この事実はサタンも知らなかったらしい。というよりこんな事件を起こしたことがないから前例がないやつなんじゃないかな。
だけど、今後もこういう事があっては困る。俺はあえてきつい言葉をサタンにかけた。
「とりあえずサタン、明日からなるべく植林場に近づかないようにしてね。万が一全焼した時の損害とか多分シャレにならないから」
ポイントは貴重だ。それに実際今日ぐらいのボヤ程度ならまだしも、大火事になんてなったら本当に笑えない。
「チッ、わかったよ…」
明らかにイラついているのかサタンの周りにパチパチと火の粉が飛び始めた。しかし、そこでゴンゾとキリが助け舟を出した。
「そうおっしゃるなククル殿。ワシは今日サタン殿がいてくれたおかげで楽に仕事ができたんじゃ」
ゴンゾはいつものうるさい感じとは違う真剣な顔で俺に言ってきた。そこでキリも「そうです!」と声をはった。
「私サタンさんは一生懸命になって集中してたからなっちゃっただけだと思うんです。それに、何かあったらも私もっと頑張りますから!」
「キリ、あんたはこれ以上頑張りようがないでしょう」
「そうだけど、けど、頑張りますから!」
サシャの言うとおり、これ以上頑張りようはないんだけどな。
しかし、この言葉はサタンに響いたらしく、2人に励まされてサタンも嬉しいのかフンッと鼻を鳴らした。そしてわずかだけど目に雫が溜まっているのがわかった。
「僕も最初から出来ると思っていませんし、今回のことはサタンさんにも大きな知識となったでしょうから、主ももう一度チャンスを上げてはくれませんか?」
ここで今まで黙っていた華も口を開いた。きっとみんな同じ気持ちなんだろう。スライムも何も言わない変わりに優しい光を放っている。
「…なら、今回のことはいいけど、次からは気をつけなよ」
「…あぁ、わかってるよ」
うん、まぁ人数少ないのも事実だし、手伝ってもらう分にはいいか。
「ところで華、今日は何をしていたの?」
「はい、僕たちは今日肥やしを混ぜての土作りと、種まきをしました。しかし、収穫まで当分かかりそうなのでこちらはしばらく戦力になれそうもないです」
「そっか…。まぁ仕方ないさ、植物にいきなり実をつけろって言ってもしょうがないし」
「即戦力となれずにすいません。しかし必ず皆さんに負けない働きをしてます」
ほんと華は頼もしいし、期待もできる。このメンバーの中で唯一まともな人で助かる。
「それじゃあ、今日のポイントなんだけど…」
今日のポイントを何に使うか話し合おうと議題を持っていくと、突然大きな音が鳴った。
『ぎゅるるるるるるる』
そう、みんなの腹の虫がなったのだ。
そこで俺たちは一番の問題を思い出した。