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経験値がほしかったのに玉を渡された  作者: てんこ
街作り開始
15/126

昔話をし始めました!

回想になります。


会話より、ただの説明文っぽくて読みにくいかもしれないです。

「ごめんなさい、弱い男はちょっと…」


人生初の告白は、なんともあっけなく終わった。


切なさより情けなさが自分を襲いくる。


「強さ」


シンプルでありながら雄の真価である部分だ。


誰しもみな強さに引かれるものだし、確かに弱い自分には欠けているものだった。


「俺ってそんなに弱いのかなぁ…」


いや、思い当たる節はある。村で一番喧嘩は弱いし、特別体格がよく生まれたわけでもない自分は確かに弱いと


1人そんなことを考えながら悩んでいるといると後から大きな笑い声が聞こえた。


さすがにこのタイミングで笑われると腹が立ち、どこのどいつだと思い振り替えると酒瓶を抱えた酔っぱらいの老人だった。


こんなやつにまで笑われるなんてと思い、思わず声をかけた


「なに笑ってんだよじいさん」


苛立ち混じりの声にじいさんはまた笑いながら答えた。


「いやぁ、最高じゃ。弱いからって振られるとか、昔のヤンキー漫画かよ」


「まんが?何をおかしなこと言ってんだよじじい」


「まぁ、適当に言ったことじゃ、気にすんな」


なんだこのじいさん、酔ってるからか知らないが変なことをベラベラしゃべるな。しかも地味にじじい口調と若者言葉が混ざってるから腹立つ。


もうこれ以上話してもイラつくだけだと判断してその場を立ち去ろうとすると、じいさんが「まぁそんな焦るな、じじいの昔話にでも付き合ってくれ」と言われた。


「…じいさん見てたんだろ。俺今傷心状態なんだけど」


「見てたからこそ聞けって言ってるんだ」


「はぁ?なに、振られた女の子に今すぐ告白される方法があるなら聞くけど?」


「そんな不可能が可能になるわけないじゃろ。お前バカか」


カッチーン。言うじゃねぇかこのじじい!


もう頭にきて帰ろうとすると「じゃが、強くなれるきっかけになるかも知らん」


「……」


「ちなみにわし、メチャクチャ強くてモテたんじゃよ」


「しゃーねー、話だけ聞いてやる」


釣られた訳じゃない、話を聞いた上で否定してやろうとしているだけだ。


「いいじゃろう、そりじゃあ話してやる…」


そういい酒をあおったじいさんの口からは、まるで聞いたことのない勇者の話をしてくれた。


簡単に話すと、じいさんは奴隷達を救うため異世界から召喚され、そしてハンターとなり旅に出た。そしてその旅の途中で仲間と出会い、時には挫折し、協力して敵の親玉を倒した。


そして自分はその時の仲間と恋をし、親玉を倒すと結婚したが流行り病で10年後に亡くなってしまったこと。


絶望した自分を狙ってきた刺客によって呪いをかけられそうになったが、仲間がそれを受け、身代わりとなったこと。


より絶望したが、それでも支えてくれた仲間によって自分は今も生きているという話だった。


なんとも絵本っぽかったが、俺は最後まで茶々をいれず食い入って聞いていた。


「どうじゃ?わしすげーだろ」


「す、すげー…」


かっこいい、まるで勇者みたいだ。


「なぁ!師匠って呼んでいいか!」


「あ?し、師匠?」


「あぁ!じいさんかっけーし!そう呼ぶわ!」


子供っぽい話かもしれないが、こういう話に男は弱い。ましてやそんなにかっこいい話を聞いたら振られた話なんかどうでもよく思えてきた。


じいさんはまた大声で笑うと「好きにしな」と言ってきた。


「物好きなガキだ、おもしれー」


「ガキって言うな、俺はククルだ」


「そうか、ククルか。わしのことは師匠と呼んでいいが、今日のところは帰れ。もう暗いし、親が心配する」


「っと、いけねー、また怒られちまう!じゃあまたな!師匠!」


「おーう、また明日なー」


あのくそじじいとの出会いは、ちょうど今から3年前になる。


あのとき違う出会い方をしてれば、今はこんな目にあってなかったのかと思うと頭がいたい。

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