過去の話に突入しました!
昨日の夜、俺は念願の経験値を手にいれることができた。
元はといえばあのくそじじいに騙されたせいでこんなめんどくさいことになったわけなんだが。普通に1人で草原に出て魔物狩りにいけば人間でいられたというのに…。
「はぁ…」
「にこにこしたり落ち込んだりして、あんたは本当に忙しいやつね」
「うるせぇサシャ。いいことあって喜んで、悲しいことを思い出しただけだ」
「ククルさんも色々大変なんですね」
2日目、俺はサシャとキリの担当する水源へ来ていた。
まだ周りに大きな建物はマンションぐらいしかなく、景観がいいため、ここはちょっとだけ俺のお気に入りスポットだったりする。
水源にきた理由は昨日一番ポイントを稼いだサシャの仕事ぶりを見にきたのである。
「それにしても、本当に浸かってるだけでポイントが入るんだな」
俺は手に持っている玉に映し出されているポイントの上がりかたを見て驚いている。急激にポイントが上がっていくわけではないが、2秒に1回ぐらいポイントが 上がっていって、ここが開拓されていることを確認できる。
「こんな感じなら、俺もサタンと一緒にゴンゾを手伝いにいけばよかったかもなぁ」
「まぁ、いいじゃないですか。2人より3人いた方が会話が盛り上がります」
「あたしはいない方が嬉しいけどねー」
「はぁ、サシャは優しいなぁ。どっかの淫乱リリスと違って」
「誰が淫乱よ、この童貞!」
「うるせぇよ!童貞なめんなよ!自分を貫いてる証拠だかんな!」
「なにが貫いてるよ!貫いたこともないから童貞なんでしょうが!」
「余計なお世話だ!」
いや確かにないけどさ!?
「ふふっ、2人は本当に仲良しなのですね」
「「どこが!」」
仲がいいなんてなんかの冗談だろ、吐き気がする。
「はぁ、こんなことになったのもあのじじいのせいだ」
そう、こんなめんどくさいやつと出会わずちゃくちゃくと経験値稼ぎをできていたはずだ。
「…あの、くくるさん」
「ん?なに、サシャ」
「よく聞く、そのくそじじいさんとはどんな方だったのですか?」
「…嘘つきじじい」
「嘘つきさんですか?」
「あぁ、そして現魔王様らしいよ」
「え!?あの魔王様ですか!?」
「知ってるの、サシャ?」
「知ってるもなにも、魔物界の長ですから誰でも知っています!」
「あ、あんたそんなすごい人となんで知り合いなのよ…」
「あ?いや、うちの村をつくって、そこで隠居してたらしくてな。そこでこの玉を渡されて今に至るって感じ」
「すごく適当な方ね、ほんと」
「まさか人間界にいられたなんて…」
「まぁけど、俺は師匠って一時期呼んでたしな。凄いじいさんではあったよ」
「へぇ…。もしよければ、お話聞かせてもらえませんか?」
「そうね、あたしも気になる」
「いいけど、面白くねーぞ、あのくそじじいの話なんて」
構いませんといい2人ともこっちを期待の眼差しで見てくる。
「あのじいさんとの出会いかぁ…」
そういえば、俺が振られた直後だったかなぁ…。