悪だくみをしました!
皆に言われ寝てどのくらいたったがわからないがすっきりした。
「んー!よく寝たなぁ」
身体は嘘のように軽くなり頭はすっきりした気がする。睡眠って大事だな。
「おぉ、くくる起きたかぁ?」
サタンの声が玄関から聞こえて俺は振り向くとそこにはサタンがいた。起きていた頃は男だったのに今は女になっている。
「おはよう。どのぐらい寝てた?」
「ざっと丸一日だなぁ。よっぽど疲れてたのかぁ?」
「は!?そんなに寝てたのか!?」
いくら疲れがたまってたとはいえこれは寝すぎだろ。というかよく俺もそれだけ寝たな。
「あと一時間起きるのが遅かったら蹴り起こせって言われてたんだけどなぁ。残念だ」
「不穏な空気を感じ取ったんだと信じておくよ。んで、何か変わったことは?」
「あぁ、レアからの報告だと相手のアジトはここから山二つ超えた先にあるご近所さんみてぇだ。偵察部隊が戻らねぇのを察してそろそろこっちに殴りこんでくるか何かしら動きがあるかもなぁ」
「んー、多分だけどうちの戦力的に負けるようなことは考えられないけど殴りこまれたらこの街の被害もでかいよなー」
「まぁな、牛頭と馬頭の野郎がいるとしても俺とかミュウにはかなわねぇしなぁ」
正直負ける気はしないし、うちの最強の2人さえいれば人間界の聖騎士に攻められたって簡単に撃退できるだろう。だけども逆に言えばこの2人がいなくなってしまえばうちの戦力というのは圧倒的に下がる。
最悪スライムがいるが、本当に強いいかどうかは怪しいし、戦って成果を残したという話は聞かないしな。ステータス詐欺ということもあるかもしれない。
だからこそ攻められるわけにはいかないが攻め込むわけにもいかない。なんとももどかしい話だ。
「あ、そういえばミュウさんってそんな強いの?召喚してからろくに話してないけどみんな驚いてたしさ」
「あいつは俺と同じで獣属の守り神みてぇな奴だ。ファイヤーウルフの覚醒した存在で一応神格クラスなんだけどよぉ、いかんせん自由な奴でなぁ」
確かに召喚した時も「どーもー!ミュウちゃんでーっす!あれ、ココの匂いするやん!また後でー!」なんて言って走って行ってしまった。結果的に助かったけど今まで召喚した人と違って少し戸惑ったな。
「力は確かなんだが責任感がなくてなぁ。長にはできねぇが守り神ならいけるって話でその立場に落ち着いたんだぁ」
「ならあんまりサタンと変わらないな」
「ふざけんな!全然違うだろ!」
俺からしたらサタンも同じなんだけどな。
「あ、あのすみません。く、くくるさんは起きていますか?」
「ん?なんだ、クルアか」
入り口から恐る恐る顔を出したのは怪しい布でできた仮面をかぶったクルアだった。あの長い鼻先が見えると怖いんだよな。
「ぁ?んだクルアぁ、てめぇなにしに来やがった」
「ふひっ、い、いえ、く、くくるさんにお願いがあ、ありまして」
「ほらサタン、そんなに威圧すんな。で、なにかあったのか?」
「お願いです!私に研究所を作って下さい!もう研究ができなくて辛いんです!」
顔を半分ドアに隠しながらそう叫んできた。だが俺の知識の中に研究所というものはないのだが。
「ちょっと玉を確認するな。…あった、これか。うわ、3000ポイントとか高いな。しばらく作れないぞ」
「そんなぁぁぁっぁ私の生きがいがぁぁぁぁぁ」
入り口で倒れながら号泣してしまったが知らん。他の優先順位というものがあるのだ。
「ごめんな、ポイントが足りないんだ。この前の襲撃で入ったポイントを使っても今まで止まってた施設を建てるのにほとんど使っちゃうからさ」
今のところ稼いだポイントであらかたの目標は達成できるのだが、それでも保険で持っておきたいポイントとか今後を考えると少しは残しておきたい。
そこに来て新たに研究h所を建てるとなるとさらにポイントがかかってすべてが遠のいてしまう。
「な、ならばさらに私がポイントを稼ぎますから是非に!」
「ポイントを稼ぐって、お前何ができんだよ。強さも正直そこまで強くないじゃん」
「わ、私の研究の成果を使えば!」
研究の成果と言われてもなぁ。正直なんにもできなさそうな感じしかしない。なんせ見た目と言動がそんな感じだから。
「…なぁクルア、おめぇよぉ何でも作れんのかぁ?」
「ふひっ?薬品であればスキルもありますし。あ、あとは簡単な素材がありましたら」
「なんか閃いたのかサタン?」
「まぁな。だけど正直に言えばそこら中から反感をかいそうだし、下手すりゃあここで生活できなくなるけどなぁ」
「そんな危ないこと頼もうとすんなよ!」
「いや、こいつが本当に優秀ならできるはずなんだよなぁ。昔牛頭と馬頭を一網打尽にした方法がなぁ」
そういうとサタンはニヤッと笑った。