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第2話 お姉ちゃん

 私の名前は、柊 大和。

 幼少期から身長は後ろから数えた方が早い………それは今も大差ない。

 近年のNBAやバレーボールでは私は低い方だと安堵している。

 しかし周囲の万能は長身と取られ、不本意ながらも渾名も幼少期のままの王子で固定されていた。

 私は女だ!

 大事な事だからもう一度言おう!

 私は女だ!



 アキバ系先輩や山本サチさんは一枚の赤色の短冊が二人を結びつけた。


 現在私はベッドの上で胡座をかいて二枚の赤色の短冊を睨んで唸っている。


 二枚とも顔見知り。

(かんざし) 小鳥】

 もう一人。

【桂木 沙夜】


 何度も見直したが間違い無かった。

 アキバ系先輩と同じ様に握って投げようにもシワひとつ作れず手から離れる事も無い。

 それに鋏を入れようにも硬くて切れない。まるで鉄板を切るみたいだ。


 試行錯誤の結果短冊は置く事は出来たのでベッドの上で二枚並んだ状態なのである。


「考えても仕方ないか」


 気分転換に型の稽古をしようと木銃に手を掛けるとメガネ丸からメールが届いた。


 《バイトが終わったからこれから猿の家に行こうと思うが一緒に来るか?》


 何時もながらタイミングを計ってるのか?と聞きたいくらいに欲しい場所に欲しい物を置いていく男だ。


 二つ返事でメールを返すと待ち合わせ先の東国馬駅前に向かった。


 東国馬は文字通り国馬駅のひとつ東に向かった駅である。

 歓楽街や学校等隣接している国馬駅と違い完全ベッドタウンの印象の強い地域ではある。

 しかし、バスターミナルや駅が隣接してる事もあり中々住み良い街である。

 何より、駅前商店街の中にある中田ベーカリーのカツカレーパンはお気に入りだ。

 タルトの様な形状のパン生地の上に少し辛めのカレーソース。更に分厚く切られた二切れのトンカツが嬉しい。


「………買って帰ろうかな」


 商店街の方を見ていると何かを頬張りながら見慣れたヤツが近づいてきた。


「よほ!まったぁ?」


 手には中田ベーカリーの袋にカレーの臭い。

 まさしくメガネ丸はカツカレーパンを食指ながらやってきたのだ。


「ん?どうした。東国馬駅(ここ)に来たらカツカレーパン喰うっしょ!」

「確かにな」


 人を待たせてカツカレーパンかよ!羨ましい。


「でも良かったよ最後の一つが買えてさぁ」


 コイツが悪い分けじゃないけど………その笑顔(ニヤケづら)が腹立つ!

 そして全私は号泣だ!


「………で、猿の家ってどこだ?」

「ああぁそっかぁ俺を介しての知り合いだもんな」


 もっと失礼してながら私は『猿』の本名も知らない。無論カッパもだ。


 猿渡 雄志だから猿なんだとか。


「カッパは俺も知らん。猿を介しての友人だからな。失踪話は猿の姉ちゃんからメールで来た」

(あいつ)に姉がいるのか?」

「この前の合コンに来てたしょ」


 思い出そうにも大分経つから記憶は砂時計の砂の如く流れ落ちている。


「俺とずっと話してたアレだよ」


 今朝会った世界のお姉ちゃんの名刺を出すとメガネ丸に見せる。


「レアな物をもってんなぁ。この人だよ」

「でも猿渡じゃ無いの?」

「それは本人に聞かないと分からないけど、少々変わってるけど面倒見の良い従姉だ」


 ………少々ね。

 名刺を見直してから元に戻した。


 商店街を左折して暫く歩くと巨大なビルが建て並ぶ通りに出た。

 その一角に豪奢な建物があり、メガネ丸は其所で立ち止まった。

 一階には羽目殺しの窓が贅沢に使われていてラウンジぽいカウンターテーブルが見えている。

 猿はホテルにでも住んでるのか?


 メガネ丸は何度か来ている様で慣れた手つきで入口にあるパネルに数字を打ち込むとスピーカーからチャイム音が流れる。


『開けたから入ってきて』


 開けたとはどうやらドアでは無くて昇降機の扉らしく中に入ると自動で目的の階で停止した。

 扉が開くと藍色に金糸の刺繍が施された絨毯が広がっていて白色のワンピース姿の女性が立っていた。


 自称世界のお姉ちゃん。

 糸色 愛その人だった。


「ようこそいらっしゃいました王子様」

「ようこそって………」

「うーん。ここから既に玄関なのよね………フロアー全部が自宅なの」


 うん。凄すぎて黙るしか無かった。


 着いてきてと言われて彼女の後を追いかける。


「クローゼットに成ってるから此所でスリッパに履き替えてね」


 自室の倍ちかくあるクローゼットって………。


「ようこそ王子様。(おねえちゃん)と食事?(おねえちゃん)とお風呂?それとも(おねえちゃん)と寝る?」

「なんで全部に愛さんが付随してるんですか!」

「愛さんなんて他人行儀は(おねえちゃん)嫌いだなぁ。ここはお姉ちゃんと呼んで欲しいなっ」

「ここはお姉ちゃん」

「王子様ったら意地悪ね」


 面倒なのと本題に進まない。


「………まぁいいわ。王子様あなた自らお姉ちゃんって呼ぶまで待っててあげる」

「何でお姉ちゃんなんですか?」

「愚問ね。私はね自薦他薦問わずに姉であるのよ!」


 話を戻さないと帰って来れない気がした。


「猿………いえ弟さんが失踪したと聞きましたが何か有ったのですか?」

「弟じゃないわ………雄志ゆーじよ!」

「雄志さんは弟さんじゃないんですか?」


 まぁ金持ちによくある聞いてはいけない秘部何だろうか?


「子供の頃からずっと一緒に育った雄志はね、私を姉へと昇華させた唯一無二の特別な存在なのよ」

「…………つまり雄志さんは…………」

「察しの通り………実弟よ!だって私は自力で20000人の妹を外に持っていたのに!弟の目には私を純粋に姉として視ていたのよ?」


 おいてけぼりだったメガネ丸は肘で私に合図を送る。


「変わってるけど面白いだろ?」


 面白いで済む範囲だろうか。


「その時、今まで足りなかった物が何か分かったのよ!血より濃い絆は無いって!!」



王子様要素が少ないですが、次回は多く出していきます!


では。

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