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僕は9ボルト  作者: 大友 鎬
Trouble With Spanish Yellow
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黄金色の問題(1)

「辞める!」

 グレイスの机に辞表とL.E.D.を叩きつけ寧色は基地をあとにする。

 リチウムブルーフィギュアの売り上げが好調だったため、仕入れに赴いていたホープの従業員と光輝だけがその言葉に凍りつき、ほかの社員たちは呆れた顔をしていた。

「あの、寧色さん。辞めちゃったけど……いいんですか?」

 異様な雰囲気をかもし出すなかで光輝は恐る恐るたずねた。

「光輝さんは知らなかったですか。あれはいつもの光景なのです」

 白香が戸惑う光輝に言い放つ。ホープの従業員と商談していた社員もお気になさらずに、と言って商談を再開していた。

「ヒーローには三ヶ月に一度、ヒーロー査定というものがあってだな……」

 続く言葉は伴だ。持っていたあんパンをひとかじりして、

「その査定に合格すると、ヒーローたちは昇給する!」

「伴さん、司令室内での飲食はダメですとあれほど……」

 白香が奪おうとするが、伴は体型に似合わず機敏な動きで回避する。

「それに不合格になった寧色は昇給しないから不服なんだよ」

 先日の事件以降、朝早く出勤してほかの社員を騒然とさせている次郎花が続く。白香を避けた伴の腕からあんパンを奪い、白香へと渡す。

「これは没収です」

 白香があんパンをカバンのなかにしまうと、伴は誰の目にも明らかにがっくりと体を曲げて落ち込んだ。

「それで不合格になるたびに、辞表を叩きつけるんだけど二、三日後には戻ってくる。ただのやつあたりだよ」

「オー、そのとおりデス。査定の時期の恒例行事デース! すぐに戻ってきマース!」

 次郎花の言葉を引き継いだグレイスが寧色が叩きつけた辞表をビリビリと破いて、ゴミ箱に捨てる。

 けれど光輝はグレイスの言葉を聞いてもなお、自身に蠢く変なもやもやがはりついて消えなかった。

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