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『019』
森にて魔物が出現した。
一緒に森に来ていた執事のトーマスが見せたことのない動揺を見せる。
エマはトーマスの動揺から危機感を感じ取った。
出現した魔物はハチの魔物で、複数匹いたのをエマは確認する。
(ハチの魔物だ! 大きさは日本のハチよりも大きい)
大きさは日本でいうミツバチよりも大きくて、カラスくらいの大きさはあるのはエマは驚く。
王都周辺の魔物は見てきたが、ハチの魔物は知らない。
トーマスがエマを避難させて、自分が戦うとした。
「こいつはキラービーだ。危険種の魔物です。私が戦いますので、馬車で町に帰ってください!」
「それではトーマスの命が危ないのでは?」
「これは私からのお願いです。早く馬車に乗って町へ!」
キラービーが危険種だというのがトーマスの言葉からエマには伝わる。
馬車で移動させることはできるが、トーマスを森に残してしまっていいのかという気持ちがエマにはあった。
たとえエマが危険になってでも一人で町に帰る気にはなれなかった。
(トーマスを置いて帰るわけにはいかないよ)
エマは馬車に向かったものの足を止めて、振り返ってトーマスの方に戻るのだった。
でもそれはエマには楽な選択肢ではない。
町に帰ってからクローゼに報告し、応援に来てもらうこともできるけど、それだと時間がかかり、トーマスの危機に間に合わなくなる。
このままトーマスの言う通りに従い、森から町に行けばエマは安全であるが、それはエマは選ばなかった。
それはエマも危険になるわけで、危険を覚悟をする。
薬師であるエマが何ができるかも考えると、走ってトーマスの所へ行く。
(トーマス、待っててね。私も行きます!)
走ってトーマスの場所へ戻ると、トーマスはすでにキラービーと戦闘中だった。
しかもトーマスの体からは大量の血が流れていたのはショックだった。
(凄い流血をしている。トーマスが死んじゃう!)
「トーマス、逃げて!」
「なぜ戻って来たエマ様。私に従ってくださいと言ったでしょう!」
「このままではトーマスが死にます。それを放置して逃げるわけにはいきません」
「エマ様が来たところでキラービーは勝てませんよ。エマ様は戦闘向きではありません。薬師は治癒や回復が得意とする。はっきり言って2人とも助かりませんよ」
「助からないかどうかは、まだ決まっていません。薬師のことをトーマスはわかってないから。薬師は決して補助的な役目しかできないわけじゃないです」
「エマ様がキラービーと戦うというのですか?」
トーマスはなぜエマが戻って来たのか理解できなかった。
はっきり言うと回復薬くらいしか役に立たないし、それではキラービーには勝てないと判断している。
それなのに戻って来た気持ちは嬉しい。
しかし嬉しい反面、2人ともここでキラービーに殺される結果は良くないと思うし、クローゼの所に戻って欲しかった。
エマが優れた薬師なのは聞いているが、エマは薬師は補助的な役割だけではないと言う。
その意味が元騎士団のトーマスには理解できないでいる。
いったい何を言っているのかと。
薬師が戦闘向きではないのは元騎士団からしたら常識である。
逆にトーマスの邪魔になるとも思えるのに、エマは何か確信的な言い方をしたのがトーマスには不思議だった。
エマはトーマスの知らない何かしらの能力を持っているというのかとトーマスは感じてもいた。




