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男子校女装化計画!?〜廃校危機を救う奇跡の文化祭大作戦〜  作者: ほしみん


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第27話 双子コーデで大騒動

 放課後の教室、月美のクラスのメンバーは女装技術の練習に励んでいた。ここ最近の技術向上は目覚ましく、みんなそれなりに様になってきている。そんな中、ふと気づくと委員長だけが相変わらず男子の制服のままで指導に当たっていた。


 そんなある日。


「ねえねえ、委員長」田島が手を上げた。「委員長ばっかり指示出してるけど、自分はやらないの?」


「そうそう!委員長の女装も見てみたいよな」佐藤が便乗する。


 松本も加わった。「不公平じゃない?」


 クラス全体がざわめき始める。確かに言われてみれば、委員長は戦略を立てたり指導をしたりはするけれど、実際に女装した姿を見たことがない。


「委員長の女装見たい!」

「やってみろよ!」


 次第にコールが高まっていく。委員長は困惑した表情を浮かべている。


 月美は内心複雑だった。委員長の女装は既に知っている。あの時の秀香の姿は今でもはっきりと覚えている。でも、みんなは知らない。


(あー……みんな知らないのか)


 どう反応していいか分からず、月美は微妙な表情になって委員長に目をやると、委員長と視線が合った。


「委員長!委員長!」


 囃し立てるクラスの声が教室に響く。委員長は少し考えてから、意外にも前向きな返事をした。


「では……やりますか!」


 クラス全員の期待が最高潮に達する。そして委員長は月美の方を向いた。


「月美さん、ちょっと」


「え?」


 クラスメートたちが「なんで桜井?」と疑問の声を上げる中、月美は委員長の意図を理解した。


(ああ、あれか……)


 内心で納得しつつも、委員長がやる気になったことに少し驚く。


「まあ、いいですけど」


 月美と委員長は準備を始めた。




 教室の隅で着替えながら、委員長の手慣れた様子にクラスメートたちが首をかしげる。


「あれ?委員長、慣れてない?」

「なんか手際良くない?」


 月美と委員長は息の合った連携で準備を進める。メイク、髪型、服装の調整……すべてがスムーズに進んだ。


 そして、ついに披露の時が来た。


 月美たちが教室の前に立った瞬間、クラス全員が息を呑んだ。


「すげー!可愛い!」

「区別がつかない!なにこれ、反則だろ!」

「完璧すぎる!委員長、女装まで完璧とかズルすぎるだろ!!!」


 歓声が上がる。


 そう、それは美桜が休日に月美と委員長に施したお化粧『双子コーデ』だ。あの日もそっくりな女装でさんざんおもちゃにされたが、おもちゃにされるだけのインパクトは健在のようだ。


 そして委員長は美月にとどめの一撃を放った。


「ふふふ、私達二人でデートしましたもんね?」


 わざと思わせぶりなセリフを言う。


「え、あれ、デートだったんですか?」


「デートだって思ってたのは私だけだったんですの?」


 うるうるした上目遣いで美月を見る委員長。


(なんだこのあざとい委員長!狙い過ぎだろ!!)


 ジト目で委員長を見る月美の横でクラスのテンションは完全に爆発した。


「うおおおお!」

「やばい!やばすぎる!」

「もっと見たい!」

「すごすぎる!」


 大盛り上がりするクラス。

 そしていつしかその盛り上がりは、写真撮影大会の様相を呈してきた。


「これ、校内で話題になるよ!」

「絶対バズる!」


 そして調子に乗ったクラスメートたちは、次々とポーズの注文を始めた。


「今度は肩組んで!」

「手つないで!」

「背中合わせでポーズ!」

「ハートマーク作って!」

「お姫様だっこ!」

「見つめ合うポーズ!」


 月美と委員長は要求されるがまま、様々なポーズを取らされる羽目になった。十数回のシャッター音が響く中、月美の疲労はピークに達していた。


「もう勘弁して……体力が……」

「まだまだ!今度は座りポーズで!」

「立ち上がるのもしんどいんだが……」


 月美が半分倒れそうになりながら呟く中、委員長は意外にも楽しんでいるようだった。


「なかなか面白い体験ですね」


「委員長……体力お化けか……」


 月美は息を切らしながら委員長を見上げた。


 ◆


 予期せず始まった双子コーデ撮影会は大盛りあがりだった。が、月美の体力は完全に底をついていた。


「委員長もこれからずっと女装して!」

「双子コンビで活動しようよ!」


 要求がエスカレートしていく。しかし、委員長は冷静だった。


「普段は戦略・指揮に専念したいので……」


 委員長の理性的な言葉。


「「「えええーーーー」」」


 クラスメイトは大きく落胆する。


「でも、特別な時は双子コーデをやりましょう」


 美月もフォローした。


「委員長は作戦担当だから、普段は指揮官モードがいいと思います。双子コーデは……まあ、たまにならいいんじゃないですか」


 クラスメートたちも納得の表情を見せる。


「重要な場面での切り札として使おう」

「校内での話題性もアップするしね」

「今度はいつやる?」


 期待の声が上がる中、月美と委員長は特別なコンビとしての認識を深めた。


 お互いの信頼関係がより深まったような気がする。


「今後もよろしく」


 委員長が手を差し出す。月美はその手を握り返した。


「こちらこそ」


 双子コーデ、意外と悪くないかもしれない。そんなことを考えながら、月美は教室で盛り上がるクラスメートたちを見渡した。


 これで月美たちの結束はさらに強くなったはずだ。そして、重要な場面で使える新たな武器も手に入れた。


 ◆


 放課後、片付けを生徒会室で終えた委員長と月美は、廊下を歩いていた。


 委員長が月美を振り返った。


「まさかこんなに盛り上がるとは思いませんでした」


「みんな純粋ですしね」月美は苦笑いした。「でも、確かにインパクトはあったと思います」


「ええ。戦略的にも価値があります」


 委員長はいつもの分析モードに戻っていた。


「今後、効果的なタイミングで活用していきましょう」


「了解です」


 教室の扉の向こうから、まだ興奮が冷めやらぬクラスメートたちの声が聞こえてくる。


「あの写真、SNSに上げていい?」

「絶対話題になるって!」


 その時、委員長が急に表情を引き締めた。


「ちょっと待ってください」


 あわてて教室に戻った委員長が、きっぱりと言った。


「SNSへのアップは禁止です。戦略的に活用するタイミングを考えたいので」


「えー、でも……」


「これは作戦の一部です。無計画に情報を流すのは得策ではありません」


 その言葉に落胆するクラスメイトたち。


「でも、逆に近々どこかのタイミングで皆さんにむしろSNSにあげてもらう機会が来ると思ってます。それまでどうか耐えてください」


 その言葉に再び盛り上がるクラスメイトたちだった。


 双子コーデ作戦――これが今後、どんな展開を生むのか。まだ分からないが、きっと面白いことになるだろう。


 そう確信しながら、月美は教室を後にした。


 文化祭まで、まだまだ先は長い。でも、きっと乗り越えていけるだろう。


 新たな切り札を手に入れた彼らなら。

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