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男子校女装化計画!?〜廃校危機を救う奇跡の文化祭大作戦〜  作者: ほしみん


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第9話 女子の作法習得

 昨日のメイク講習の翌日、美月は自宅にいた。姉の美桜が「今日は実技中心でいくよ」と言ったからだ。


「美月、まずはスカートでの生活に慣れなさい」


 美桜がファイルを開きながら言う。


(え、慣れるって……)


(だって日常生活で着るんだったら、ただ着るだけじゃなくて、普通に生活できるようにならないといけないってことか)


 美月は絶望的な気分になった。


「スカート……昨日から履いてるけど、正直歩きにくい」


「それは歩き方が男のままだからよ。女の歩き方を覚えなさい」




 ◆ 風との戦い


 昼休み、姉と一緒に近所を歩いていると、突然強い風が吹いた。


(やばい……!)


 咄嗟にスカートを押さえる美月。でもその動作が不自然だったらしく、美桜が首を振った。


「美月、スカートを押さえる時はもっと自然に」


「自然にって……」


「風が吹いてきたら、手をそっと下に置いて、軽く押さえる程度よ。必死に掴むのは不自然」


 なるほど。女子って、風が吹くたびにこんなことを考えてるのか。


「それと、強風の日は歩き方も気をつけなさい。小股で、落ち着いて歩く」


 美桜のアドバイスを聞きながら、美月は住宅街をもう一度歩いてみた。確かに、ゆっくり歩けば風にあおられにくい。


「階段の上り下りも注意が必要よ」


 美桜が家の階段を指差す。


「後ろに人がいる時は特に気をつけて。足を揃えて、上品に歩きなさい」


(一歩一歩がこんなに緊張するなんて……)




 ◆ 座り方の特訓


 夕方、自宅で本格的な指導が始まった。


「まず座り方から」


 美桜が椅子を指差す。


「膝を閉じて、斜めに座りなさい」


 美月が椅子に座ると、美桜が即座に修正に入った。


「背筋をもっと伸ばして。スカートの裾も気にしなさい」


「普通に座るだけでこんなに大変なのか……」


「慣れよ。今までの男の座り方の癖を直さないといけないの」


 美桜は家にある様々な椅子で、それぞれでの座り方を教えてくれた。ダイニングチェア、ソファ、スツール。どれも微妙に座り方が違う。


「立ち上がる時も気をつけて。勢いよく立つのではなく、ゆっくりと上品に」


(今まで何も考えずに座ってたんだな、俺……)




 ◆ 歩き方の再学習


「次は歩き方の実践よ」


 美桜が廊下に出て、歩いて見せる。


「内股で、小股で歩くの。歩幅をもう少し狭く」


 美月が真似して歩くと、最初はとても歩きにくかった。


「これで歩きにくくない?」


「慣れよ。続けなさい」


 美桜の指導は的確だった。腕の振り方、手の位置、指先の動き。すべてに気を配らなければならない。


「足音も大切よ。ヒールを履いていなくても、上品な歩き方を心がけて」


 廊下を往復しながら練習した。


 だんだんコツが掴めてきた気がする。最初よりは自然に歩けるようになった。


「全体のバランスが大切よ。一つ一つの動作が連動して、女らしさを作り出すの」




 ◆ 手の仕草


「手の仕草も重要よ」


 美桜が実演してくれる。髪を触る仕草、服装を整える動作、物を取る時の手の動き。


「男の動作は荒くて直線的なの。女はもっと繊細で曲線的な動作をするのよ」


 美月が真似してみると、最初は演技をしているような気分だった。


「指先まで意識しなさい。物を持つ時も、指の使い方一つで印象が変わるの」


(こんな細かいところまで気にするのか)


「仕草と表情も連動させなさい。微笑みながら髪を触る、恥ずかしそうに下を向く」


 美桜の指導で、だんだん自然な仕草ができるようになってきた。


「意識してやっていれば、そのうち自然になるわよ」




 ◆ 化粧直しの基本


「それから、お昼に化粧直しをしなさい」


 美桜が小さな鏡を取り出す。


「女は日中に何度か化粧をチェックするの。これも重要な女らしい行動よ」


 化粧直しの方法を教えてもらった。ファンデーションの直し方、リップの塗り直し。


「鏡を見る頻度も大切よ。自然にチェックして、目立たないように直す」


(女子ってそんなことまでしてるのか……)


「緊急時の対処法も覚えておきなさい。化粧が崩れた時、スカートにトラブルがあった時、髪型が乱れた時」


 想定しなければならないことが多すぎる。でも、すべて実際に起こりうることだ。




 ◆ 総合練習


「最後に、一連の動作を通して練習しなさい」


 美桜の指示で、立つ→歩く→座る→立つという流れを繰り返した。


「各動作の連携が大切よ。すべてが自然に流れるように」


 最初はぎこちなかったが、だんだん形になってきた気がする。


「やっと形になってきた気がする」


「かなり上達したわね」美桜が微笑む。「でも、まだ無意識レベルではないから、明日から実践で試してみなさい」


 美桜がスマートフォンを軽く確認している。


「今日もいい記録が撮れたわ」


「そんなに撮ってたっけ?」


「ちょこちょこと。でも本当に上達してるのが分かるの」


 美桜が嬉しそうにつぶやく。


「ありがとう、美桜。本当に助かってる」と美月が言う。


「私も久しぶりに指導できて楽しいわ。頑張りなさい」




 ◆ 明日への課題


 自分の部屋に戻る途中、美月は今日習ったことを頭の中で反復した。


(座り方、歩き方、手の動作、化粧直し……)


 覚えることが山ほどある。でも、美桜の指導は的確で、確実に上達している実感がある。


(明日から実践だ。一日通して、この動作を維持できるだろうか)


 不安もあるが、やるしかない。学校のため、みんなのため。


(一歩ずつ、確実に前進していこう)


 明日からの新しい挑戦に向けて、美月は決意を新たにした。女性らしい動作が無意識レベルでできるようになるまで、練習を続けよう。

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