表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シスター・イズ・バーサーカー  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/28

第15話 S&W-M500 Black-Gemini

「S&W-M500は.44マグナム弾の3倍以上の威力を持つ.500S&Wマグナム弾を撃つことができるリボルバーです。別名『ハンドキャノン』。非常に重く、非常に反動が強く、そしてバレルが長いのが特徴です。その強烈な破壊力から一時期は最強のリボルバーとして君臨していたそうです」


 と、清楚可憐な後輩がネットで得た知識を披露してくれた。


「S&Wは知ってるよ。問題は“Black-Gemini”が付いたことで何が変わったのか」


 S&Wは有名な銃だ。あのガンマニアの姉を持つ私が知らぬはずなし。


「まずカラーリングが基本のシルバーではなく、全身ブラック。銃身は3cm延長されたみたいです」

(ただでさえ長いあのバレルを更に延長したんだ……)


 携帯性悪そう。


「装弾数はモデルと変わらず5発。反動はかなり軽減されているみたいです。女の子でも扱えるぐらいの反動しかないみたいですよ。そしてもちろん、最大の付加効果は壊れないこと。『不壊(アンブレイカブル)』……この銃は如何なる攻撃を受けてもダメージを負わないそうです」

「壊れないリボルバーか」


 銃身を延長させたのは少しでもガード範囲を広げるためかな。

 

「もう1つBlack-Geminiの特徴がありまして、この銃、二丁で1セットなんですよ」

「どういうこと?」

「二丁セットでS&W-M500  Black-Geminiなんです。これを装備するためには武装枠を2つ消費し、実体化すれば必ず二丁同時に実体化され、データ化する際も二丁同時に消える。二丁のBlack-Geminiは常に共に居ないとダメで、2つの銃の距離が5m以上離れるとアンブレイクの効果は切れる……らしいです」


 双子座(Gemini)と名付けられた理由が何となくわかった。


「リボルバーを双銃前提で運用しろってことか……これは大変だ」


 主にリロードが。


「結から見て、弱点はある?」

「大有りですね。そもそもインフェニティ・スペースは実弾銃がすっっっっごく弱いんです。余程の酔狂でない限り、みんなレーザー銃を使ってます。壊れないというのは凄いですけど、攻撃力は皆無と考えていいですね」


 結は「ただ……」と言って考え込む。


「……壊れない、という特性を逆手に……うまくいくかは微妙だけど、うまくいけば攻撃力も……」

「結?」

「あ、すみません。ちょっと考え事を」


 結は咳ばらいを挟み、


「それにリロードも手間です。装弾数5で手動のリロードは使いづら過ぎます」


 特にリボルバーはリロードの手間が多いしね。攻撃力が無いだけに留まらず、リロードも簡略化されていないと考えると……武器としての運用は難しい。


「レーザー銃なら30発以上ゆうに撃てますし、リロードは多少時間はかかるものの自動的に行ってくれる。正直、私はまったくこの銃をオススメできません」

「壊れないだけで十分だよ。最悪、鈍器として使えばいい」


 それにしてもリボルバーか。

 昔お父さんと一緒に観てたアニメを思い出すな。あの主人公が使っていたのはコルトパイソンだったっけ。


「入手方法はわかってるの?」

「は、はい……それが……」


 結はスマホを操作して、画面をこちらに向ける。

 画面に映されていた文字は――


「“ガールズコロシアム”?」

「はい。インフェニティ・スペース内で開かれるイベントで、このイベントの優勝賞品がBlack-Geminiなんです」

「どういうイベントなの?」

「簡単に言うとボクシングの大会です」


 銃撃戦が肝のゲームで殴り合いをしろと?


「武器は配布されるグローブのみ。システムで互いのステータスを揃えて殴り合い、相手の頭か上半身の耐久値を0にしたら勝ち。PPP(ピーピーピー)というプレイヤーが主催していて、このプレイヤーが狂人というか……女子の殴り合いが好きな人なんです」

「変なの。でもステータスを揃えるってことはレベル差のハンデは無いってコトでしょ。初心者でも上級者でも条件は変わらないわけだ」

「やっぱり、出ます?」

「うん、私と火針で出よう。副賞で2000万チップか、おいしいじゃん。準優勝者には特殊外套と500万チップだってさ。両方合わせて2500万チップ」


 Gemini抜きでも出たいぐらいだ。

 開催日は次の土曜か。


「わかりました。先輩2人をエントリーさせておきます」

「ありがとう。任せたよ、結」


 今は昼休み。私と結は珍しく2人で食事を摂っている。

 場所は屋上。落下防止のフェンスの傍。気温はそれなりに高いけど、風は涼しい。

 私はお弁当を、結はサンドイッチを食べている。


「結……そのサンドイッチ、お母さんのお手製?」


 タッパーに入っているからコンビニとかで買ったわけじゃないはず。


「いえ、私が作りました。好きなんです、料理。今日はこのチリソースカツサンドが傑作です」

「朝にカツを作る時間あるの?」

「前に夕飯でトンカツを作った時、余った豚肉に衣を付けて冷凍しておいたんです。後はサラッと揚げるだけなんで朝の時間でも作れますよ」


 チリソースのカツサンド……美味そう。

 私も自分で弁当作ってるけど、ここまで凝ったのはさすがに作れないな。


「そういえば梓羽先輩、辛い物好きなんでしたっけ?」


 コクリ、と頷く。


「それじゃ、これあげますよ。あーん……なんちゃって」


 結がカツサンドを掴んで私の口の方に寄せて来たので、私はカツサンドにかぶりつく。


「え!?」

「はむっ、はむっ」


 そのまま食い進め、平らげる。


「ごちそうさま」


 口の周りをチリソースを舌で舐めとる。


「梓羽先輩ってクールですけど、結構ノリ良いですよね。はっ!」


 結はキョロキョロと辺りを見回す。


「み、美咲ちゃんは居ないですよね……!? こんな現場見られたらまた余計な妄想を――!」

「いるよ。塔屋(とうや)の上」

「なぁ!?」


 屋上の突き出た建物の上で、美咲はスマホ片手にうつ伏せになっている。

 あそこは上っちゃダメな所だ。生徒会長として、後で注意しとこ。


「こらーっ! 写真撮ったでしょー! 消しなさいー!!」

「後生でござる! 後生でござる! これだけは家宝にさせてくだされっ!!」


 屋上で追いかけっこを始める2人。


(仲いいな……)


 それにしてもボクシングの大会か。

 Black-Geminiには正直そそられるものがある。本気で勝ちにいこうか。

【読者の皆様へ】

この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ