12.伸びしろ
夕方のミルクの時間。
ミルクを与えながら、子牛のステータスを確認する。
うんうん、今日もみんな元気だ。
ミルクの時間は毎回ステータスを確認しているし、他の大人牛や鶏たちも一日一回はステータスを見るようにしている。
ケガや病気が早くわかると、それだけ早く治療ができるので、ステータスになにか書いてあったら、父に報告している。
牛たちをよくみていてエライね、と父が褒めてくれるのも嬉しい。
「ソレイユお姉ちゃーん。お仕事おわったー? 三人で遊びましょー」
哺乳瓶を洗っていると、双子のディーゴとティリスが手を繋いで歩いてくる。
今日は珍しく、ご機嫌なティリスがディーゴを引っ張ってる、いつもは逆なのに……ディーゴが、おとなしい?
それが気になり、双子弟妹のステータスを確認してみた。
「ディーゴ、熱が高い! ティリスも熱あるっ!」
二人ともに発熱という注意書きが出ていて、哺乳瓶を置いて、慌てて二人の手を引いて家に連れ帰る。
「お母さーん! ディーゴとティリスが熱出してるー!」
「ええ? 本当? あら、本当だわ」
二人のおでこに手を当てた母は大急ぎで二人をベッドに寝かせて、二人のおでこに濡らした手拭いを乗せた。
最初はご機嫌だったティリスも、ベッドに入るとぐったりとおとなしくなる。
「これは、今夜はもっと上がるわね。ソレイユ、教えてくれてありがとう。さすがお姉ちゃんね」
「えへへ」
母に褒められて嬉しくなり、率先して看病を引き受けた。おでこを冷やす手拭いは、温くなったらすぐに取り替えて、いつでも水が飲めるように水差しを用意する。
お姉ちゃんだからね!
得意になったわたしは、その日から毎日弟妹たちのステータスも確認することにした。見られるステータスは全部確認するんだ!
ステータスは回数をたくさん見ると、少しだけど文言が増えるのに気がついた。ほんの数文字なので、代わり映えしないといえばしないけど、伸びしろがあるというのはワクワクする。
そして、ライゼスとの魔法の練習もすすんだ。
二人でやる光の魔法の発動も早くできるようになって、それから程なくしてライゼスは一人で光を出せるようになった。
もちろんわたしだってできることは増えて、一回一回消えていた光を連続して光っているように見えるように、魔法を早く発動できるようになった。
光を点灯させるタネ明かしで、消えると同時に発動させてると言ったら、ライゼスに呆れた顔をされた。
「理屈はわかるよ、器が小さいから一瞬で魔力が溜まって、一瞬で使い切ってを繰り返してるんだってことは、わかるんだけど」
「そうそう! 体に巡らせる魔力を早くする練習してたら、発動するのも早くなったんだよね」
「魔力を、早く巡らせる……のか。それ、僕にもできる?」
「できるよ!」
力強くわたしが頷くと、彼は遠くを見て少し無言になったあと、視線をわたしに戻した。
「それ、教えてくれる?」
「いいよ!」
そんな風に、二人でできることを増やしていった。
因みに、光の色を変えるのはまだできていない。