6.
初投稿です。
次はお昼か夕方にまたあげられたらいいなと。
「おねぇちゃんの髪、きれー」
そう言って少女は私の髪を見て、目を輝かせた。
「そ、そう?ありがとう...でもこれでわかったでしょ?私もここら辺りでは変な髪の色なのよ。」
正直そんなことを言われるとは思っていなかった私は、びっくりしてしまった。少し動揺していると少女がゆっくりと話してくれた。
「実は、私も、おねぇちゃんと同じ髪の色なの、みんなと違うから色々言われたり、いじめられたりしてきたの...」
そう言って躊躇いながらも少女がローブを外すと、汚れているが綺麗な銀色の髪、そして真っ赤なルビーのような目が見えた。
私は少女の容姿を見た時、まだ産まれたばかりの妹のことを思い出してしまっていた。
「そ...そうだったのね。でもこれでわかったでしょ?ここにはあなたをいじめる人はいないわ。だから、先にお風呂に入ってきなさい?」
「エリさん。この子をお風呂に入れてきてくれますか?」
私は、内心の動揺を隠すように、少し早口になりながら、エリさんに少女のことを頼んだ。
「わかったわ。ほら、お風呂はこっちよ。食材はあるもの使っていいからねー。」
そういいながら、エリさんは少女を連れて、お風呂へと連れていく。私はその間、ちゃんと笑えていただろうか。
(銀髪は北部では珍しくない。それにあの子は10歳じゃなさそう。でも、あの赤い瞳は私の妹に似ている気がする...)
本当に妹なのか、もし妹ならなぜこんなところにいるのか、家族はどうなっているのか、疑問が私の頭の中を埋め尽くしていく。
(とりあえず、ご飯を作って、その後ゆっくりあの子に話を聞いてみよう。)
少女がいないまま考えても仕方ないと考えた私は、簡単な食事を作ることにした。体を動かさないと、動けなくなってしまいそうだった。
食事は、エリさんの家に残っていたパンと、ポトフのようなものを作った。お皿の用意をしていると、エリさん達がお風呂から帰ってきたみたいだ。
「いやーしつこい汚れで時間かかっちゃったよ。」
「エリお姉ちゃん、ひどいです...」
エリさんがそう言って冗談めかしながら笑い、少女を揶揄い、少女は頬を膨らませている。
一緒にお風呂に入ったことで、だいぶ警戒心がなくなっているようだった。
エリさんの人柄もあるせいだろうか。いつの間にか、お姉ちゃんと呼ばせているし。
お風呂に入った少女は、先程のボロボロの姿ではなく、キラキラと輝く銀髪に、赤い瞳が綺麗な子だった。ただ、白い肌のあざが痛々しい。
「子供用の服なんてなかったから、ダボダボでごめんねー?着てた服はセツが綺麗にしておくからね。」
「いえ!お風呂なんて、初めて入りましたし、こんなに良くしてくれてありがとうございます!」
そう言って少女は、私とエリさんに大人びた話し方でお礼を言う。
「私が強引に連れてきたから、気にすることなんてないのよ。エリさんも急にすみません。」
「全然いいのよー。私もとても楽しかったしね?」
エリさんはそう言いながら、少女を見てニコニコしている。
「さぁ、ご飯はできているから、みんなで一緒に食べましょう。食べられないものはない?」
「好き嫌いはないので、大丈夫です!」
そうして、私達は作ったご飯を食べながら、ゆっくり話をした。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私の名前はセツよ。この人はエリさん。私がお世話になってる診療所の先生よ。」
「お風呂でも言ったけど、エリお姉ちゃんって呼んでね?ここらでは、真面目で優秀な先生で通ってるからよろしくー。」
私たちが自己紹介すると、少女は少し気まずそうに口を開く。
「私、実は名前を覚えていなくて...今まで、おいとかお前とかしか呼ばれてなくて...」
「あっ!でも別に不便とかではなかったですよ!今まで、名前がなくて困ったことないですから!」
少女はそう言って、少し寂しそうに悲しそうに、でも私達に気を遣わせないようできるだけ、明るく振る舞っていた。
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