5.
初投稿です。
新キャラ登場回です。
そのうち出てくる人たちをまとめる回を作ろうかなと。
私達は少し歩いた後、特に何事もなく診療所に着く事ができた。流石にもう時間が遅く、正面には鍵がかかっていた。
この建物は2階建てで、1階が診療所、2階は私がお世話になっている人が住む場所になっている。
「エリさーん!私です、セツです。今大丈夫ですか?」
多分仕事が終わってダラダラしているであろう人に声を掛ける。声を掛けて少しすると、上から人が降りてくる音が聞こえてくる。
「セツ?こんな時間に何?面倒なことはやりたくないんだけどー?」
ドアを開けるなり、診療所をやっているとは思えないほど、だらしない格好をした。20代後半くらいで黒髪に黒目の女の人が出てくる。
「またこんなだらしない格好ででてきて。一応しっかり物の先生で通してるんですから、仕事が終わったとはいえ、きちんとしてくださいよ。」
「はいはい。わかってるよー。」
そう言いながら、どうせ守る気はないだろうと私は思う。まあ、いつものことであり、仕事はきちんとする人だから実はそこまで心配はしていない。
「ふぁ〜。ところで、その子は?」
大きなあくびをしながら、私の隣にいる子を指差す。
「さっきそこで会って、怪我してて、お腹も空いてるみたいだから...」
「ふーん?それで?なんて言って連れ込んだの?」
にやにやと笑いながらエリさんがそんなことを言ってきた。
「別に連れ込んでなんていないです!ただ心配だっただけで。」
そう言いながら、確かに強引だったかもしれないと思った。ただ、心配だったのは確かで、助けてあげたいと思っているだけだ。
そんなくだらない話をしていると、隣からまた、お腹が鳴る音が聞こえてきた。見てみると、お腹を抑えて恥ずかしそうにしている。
「こんなこと話してる場合じゃなかったわね。ご飯にしましょうか。でも、先にお風呂に入って綺麗にしてからにしましょう?」
「なら、私がお風呂入れてくるよ。私は料理できないし、傷の様子も直接見れるしね。」
私達が、そんな話をしていると、少女は被っているローブを握りしめて、少し震えている。
「...お風呂って、絶対に入らなきゃダメですか...?」
そう言いながら、さらにローブを深く被る。
「ご飯が出来るまで、時間がかかるし、薬を塗るのに綺麗にしたほうがいいんだけど。どうしたの?」
私は、少女と目線を合わせるために屈み、出来るだけ優しい声で問いかける。
すると、少し躊躇いながらも口を開いてくれた。
「...私の髪の毛、色がおかしいんです。」
そう言いながら、ローブを脱ぎたくないのか、さらにローブを強く握り締めている。
私も西部にきてから髪の毛が目立つことでいじめられていることがあるから少女の気持ちがわかった。
「そうなのね..でも、私もエリさんも、そんなことは気にしないわ!」
「そうよ!私は、診療所の医者よ?そんなことでは、人を嫌わないわ。」
私とエリさんは少女に大丈夫という気持ちが伝わる様に語りかける。
「で、でも...」
幼い子の心に植え付けられたトラウマはかなり根深い様で、言葉だけではダメみたいだった。
「ほら!私の髪の色も変だし、この色をみても、エリさんは態度が変わらなかったのよ!」
そう言いながら、私は被っていたローブのフードを外し、銀色の髪を見せた。もしかしたら、この少女に嫌われてしまうかもしれないが、それよりも少女の心配を取り去る方が重要だった。
「...っ!」
少女は息を呑み、驚いて目を見張っていた。
(あぁ、やっぱり髪を見せるのは失敗だったかな...)
少女の反応を見て、やっぱり見せなければ良かったかと思った。しかし、返ってきた反応は予想と違っていた。
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