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 流れだした、悲しみの涙は止まらず。

 昔の思い出が、脳裏に浮かんだ。


 ここアウスターには魔法があり。大昔、大賢者ローサが住んでいたと伝えられる国。魔力を多く持つものが良い職につける国でもある為、住む者のすべて魔力鑑定を行う義務があった。


 私が10歳のとき教会で受けた魔力鑑定で、他の者と比べれない位の魔力量保持者だと分かり、そくルールリア殿下の婚約者に選ばれた。


(この力を、当時の私は神様からの贈り物だと思っていたわ)


 みんなの為に、この神様から貰った力を強化しなくてはと、王妃教育の合間に書庫で本を読み漁った。学園に入学して授業で魔法について習い、読む本は魔導書へと変わった。


(なぜか、難しい本まで読めてしまったのよね)


 神様の贈り物はすごい。私は贈り物で得た浄化の力を使い、国中の魔物が出る森の浄化した。剣も覚え、採取、あらゆる調合も身につけた。すべてはアウスター国の為に、ルールリア殿下を助けるためだった。


(あまりの魔力の差に、バケモノだと言われた時もあったけど)


『君はこの国の宝』だと、陛下に言われた言葉が嬉しくて、ますます頑張れた。

 

 もっと、もっと国の為に。

 ルールリア殿下の為に。


 その時、身につけた多くの知識は無駄ではない、これから私の生きる糧になるだろう。

 

 回復に必要なポーション、他にも、どんな薬も作れるし。前世の記憶があるから……やったことがない掃除と洗濯、料理も出来るだろう。


 私は心が落ち着くまで泣き続けた。

 その涙も徐々に止まる……その流れた涙を拭いて顔を上げた。


(もう私が知っている、恋愛ファンタジー小説とはかなり変わっているが関係ない。私はこれからも、この世界で生きていくんだから)

 



 この転移してきた家は学園時代、浄化で訪れた凶暴な魔物が出没する、カサロの森で見つけた温室がある一軒家。発見した時。この家の外は結界で覆われていて、内装すべてに保存魔法が使われていてた。その家のダイニングテーブルの上に、ふたつに折り畳まれた紙がポツンと置いてある。


『何かしら?』


 紙に触れると、その紙は勝手に開かれ。


[この家を見つけた、あなたに差し上げましょう]


 綺麗な文字で、その言葉だけ書かれていた。


『この家を差し上げる?』

 

 もういちど確かめようと紙に触れる前に、その紙はチリチリ燃え消えてしまった。当時の私は誰の家かはわからないけど、面白い秘密基地を手に入れた! とウキウキ両親に報告して、たくさんのお気に入りの私物を運んだ。


 この場所はルールリアも知らない、両親と私が知る秘密の家。王妃教育、執務が休みの日、一人で過ごしたいときに訪れて本を読んでいた。


 この場所で、両親以外の人とは関わらず。

 のんびり、余生を過ごしましょう。

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